キノコなどの代替医療用食品に有効性はあるか(2005/5/25更新)
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☆ 代替医療用食品

 健康食品としての有効成分が認定されてはいないにもかかわらず,末期癌患者に対し,非常に高価な代替医療用食品が売られている。
 私も妻の手術後,免疫力を高めるつもりで,一月分3万円〜10万円のアガリクス茸抽出液を買って飲ませてみた。結果は4ヶ月後の転移の発見である。
 その後,違うものに替えてやはり月5万弱の出費をした。その他に漢方薬を調剤してもらったのであるから,下手をすると病院へ支払うよりも高価についた。漢方薬は,1周忌の時にお炊きあげした。
 最後は,中国人の友人が伝えてきた,西蔵の妙薬で月80万円というものだった。これには,手が出なかっただけでなく,入手する前に逝ってしまった。
 妻がいなくなって2年経ついまでも,この手の食品の広告や電話がわが家に舞い込む。

☆ サメ軟骨

 サメ軟骨のエキスは,サリドマイドと同じように血管の新生を押さえる効果があると,喧伝されている。その効果はいかなる条件の下に発現するのかは定かではなく,宣伝文句や某大学の先生の論文からも,その条件は窺えない。
 たしかに,エキス自体からは,血管新生阻害物質が抽出できている。しかし,医学研究者の間では,経口摂取による臨床的な有効性を疑う声が多い。
 一方,純粋な科学としては,2005年5月23日に二重盲検法による有効性の調査研究の結果が,米国の医学誌Cancerの電子版に掲載された。
 それによると,米国の研究groupが計83人の乳癌と大腸癌の患者の半分に投与し,非投与群との生存率および患者の主観によるQOLの改善度を調べた。その結果,サメ軟骨エキスはこれらの指標において,有意の差異を示さなかった,という内容が伝えられている。