養豚家Dr. YIKAIの白日夢

2021年冬版(1,2,3月) Copy Right 2021 Dr.YIKAI Kunio

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2021年1月1日2020年の出来事から
2021年1月3日Corona死と抗RNA増殖薬「アビガン」
2021年1月7日大本営発表
2021年2月1日令和の道鏡
2021年2月3日高貴薬と薬九層倍
2021年2月10日武漢corona
2021年3月17日Rubicoを渡る
2021年3月20日近世という時代区切り

2021年1月1日 2020年の出来事から

 2020年は2011年の東日本大震災以上の激動の年であった。
 震災が日本国および国民に与えた影響は,2020年の影響と比べると,実質的にはそれほど大きなものではなかった。 昨年の激動は,多分1945年の米軍による全国各地への空襲や原爆投下に匹敵する規模だと思われる。
 その激動の中で,どれがより国民や日本国への影響が大きいかについては,いろいろと議論があるであろうが,養豚家は以下の三つを挙げたい。

Ⅰ 激動の筆頭は何と言っても,新型corona virusに因る経済の萎縮である。
 ただ,これは戦災とは異なり,一度にドンと来るのではなく,じわじわと国民の活動を締め付けて来たし,今後も生産や生活活動がparadigm shiftしていくことにより,その変化に付いていけない部分を切り捨てることで起きる激動が大きいであろう。

Ⅱ 第二は韓国との摩擦である。
 2020年は2018年からくすぶっていたいろいろな摩擦が極大化して,もう完全に後戻りできない状態になった年として記憶されるであろう。
 1941年暮れの米国からの最後通牒であったHull noteに匹敵するかも知れないし,少なくとも国際連盟からの脱退を決めた1932年の満洲国建国に対するLytton調査団の報告書水準の激動である。

Ⅲ  三つ目は私は,秋篠宮家の長女眞子さまの結婚問題であろう,と思う。 2018年のはじめに暴露された眞子さまの婚約内定者小室圭氏の400万円の借金問題は,小室氏が口を閉ざし続けていたせいか,今年は大きく広がって,小学校や中高時代にイジメ側に立っていたとか,父親方の親族の不可解な自殺,母親の不遜な態度などが報道されるに従って,小室氏だけではなく眞子さまへの批判も広がってしまった。
 さらに2020年の末になって,眞子さまの「結婚したいから結婚するの!」と言った内容の幼稚極まる29歳の誕生日の発表文にまで至って,批判が極大化してしまった。
 このcorona下の国民を思う文言が一言もない文書の破壊力はすさまじく,それまで抑えられていた秋篠宮家への批判や皇室そのものの存在意義までSNS上やYahoo comment上で議論するようになった。 贅沢三昧な生活や忖度の極みのAO入試で有名大に進学したことなど,本来国民に寄り添うことで存在価値を持っていた皇族が,単なる門閥の利権家族でしかないことを露呈してしまったのである。
 このように皇族が,自分が恣に生きられたのでは,日本国憲法の,

第1条 天皇は 日本國の象徴であり日本國民統合の象徴であって この地位は 主権の存する日本國民の総意に基づく

という条文をどう解釈するかという点にまで及んでしまう事態となった。
 なお,天皇皇后両陛下は新年のvideo messageで,corona禍と年末年始の大雪を心配する内容を述べられ,眞子さまとは異なって国民に寄り添うお気持ちをはっきりと示された。

 じつはcorona禍以外の二つは明らかに先の戦災と同じく人災である。 時の為政者や関係者がそうなるようにしてしまったものである。
 これらについては,養豚家は今年も順次考えを述べていくことにするが,新年に当たって,養豚家の「お言葉」として公開する。


2021年1月3日 Corona死と抗RNA virus薬「アビガン」

 先月27日に,故羽田孜元総理の長男羽田雄一郎参議院議員が,PCR検査のために病院へ向かう車の中でcoronaで呼吸困難となり,救急車搬送する途中で急死した。
 また,同じく先月30日には,60代の一人暮らしの男性が,熱が下がっていた29日の翌日に自宅で死亡していた。

 新型corona virusの怖さは,この1時間も待てない急に来る破滅的な症状であり,さらに死なずに回復したとしても身体中に残る後遺症である。 これを除けば,従来型のcorona virusや普通のインフルと大差ない。

 インフルエンザに対しては早目のタミフル(一般名は「オセルタミビル:oseltamivir」)ということで,日本の医者は簡易検査でインフルエンザが検出されると,すぐにタミフルを処方してくれる。 タミフルはSwissのRoche社が販売しているA(N1H1)型インフルエンザに対する抗RNA virus薬で,ここ10余年来全世界供給量の3/4を日本で消費しているという。 Roche社と子会社の中外製薬は儲かってたまらなかったであろう。
 ところでこのタミフル,Wikipediaに拠るとあまり効かない,という評価が最近は出ている。 タミフルの原理は,細胞内で増殖したvirus粒子が細胞から外に遊離するのを妨害するという機序でvirusの増殖・拡散を防いでいる。 したがってこのvirusの細胞から遊離する方法が変異すれば,原理的にタミフルが効かない変異株が生まれる。 実際に,NIID(国立感染症研究所)の発表に拠ると,2019~2020年の流行では,タミフルが効かないインフルエンザがすでに1.6%になっている。
 詳しく説明すると,A型では基準値の100倍の薬剤を投与してやっと効くまで,耐性が上がった場合に耐性virusと判定する。 したがって,通常量の服用ではタミフルが効かない変異virusの割合は1.6%よりも遥かに多い。

 じつは,日本の富士フイルムの子会社 富士フイルム富山化学と富山大の白木公康先生が共同開発したアビガン(一般名は「ファビピラビル:favipiravir」)は,タミフルとは違う機序でRNA virusの増殖を阻む抗RNA virus薬であり,構造も簡単なためタミフルよりも安価に供給できる。 しかもN1H1型インフルエンザだけでなく,corona virusを含むほとんどのRNA virusに有効である。
 アビガンは,RNA依存性RNA Polymeraseを騙して,virusが自分自身のRNAを複写すること自体を妨害する薬なので,原理的に変異種が生まれる可能性がとても低い。 なぜなら,変異種はRNAの複写ミスが主な生成原因であるからである。 Virusの一部と細菌以上の生物の細胞は,生殖細胞を除いてすべてDNAで構成されているから,RNAの増殖を邪魔しても,原理的には副作用もあまり出ない
 しかし,インフルエンザの治療薬として開発されたこのアビガンは,厚生労働省の頑強な抵抗に遭って,現時点では通常のインフルエンザ薬の治療では効果がない患者に対してのみ,国の指定下だけで投与が認められている。 アビガンもタミフルと同じく,早めの「アビガン」でないと治療効果は大幅に薄れてしまう。 早めのアビガンが今回のcorona禍を抑える秘訣であり,マスクを付けるのと同じ程度の気軽さでアビガンを投与しなければ,扱い難い-70℃のcold chainを要求する上に高価であるワクチンのみでは,容易に突然変異するRNA virusによるcorona禍の終焉を迎えるには,時間がかかるであろう。

 実際にアビガンを医者の処方薬ではなく,第1類医薬品として薬局で薬剤師による対面販売に指定すれば,通常の風邪薬と同じように早めのアビガンが浸透し,corona禍は本当の重症者だけに対処すればよくなり,医療崩壊も起きないであろう。
 日本では既得権勢力が,緊急避妊用のピルと同じく,いろいろな屁理屈を捏ねて薬局で買えないように反対するであろう。 しかし,中国や印度では今後生産が軌道に乗れば,街で気安く入手できる抗RNA virus薬になっていくと思われる。 もちろんタミフルの日本での売上が急減することは確かであるし,インフルエンザを診る医者の利益も減るであろうが,それが科学の進歩であり,国民の幸福ではなかろうか。

 利権まみれな政治家・役人と利益第一の製薬会社が,今回のcorona禍を最悪の事態に引きずり込んでしまったのであろう。 日本は,アビガンを薬局で買える国がcorona後に経済発展するのを,指を加えて見ているだけになるのかも知れない。


2021年1月7日 大本営発表

 「大本営発表」と聴くと,戦後の日本人は政府が付いた嘘のことだと理解している。

 昨6日の日本の報道に拠ると,省の中心部に北京や天津などの重要都市がある中国河北省の省都石家荘市(人口1,100万人)では,coronaの患者が1月に入ってすでに54人確認されたので,全市封鎖に踏み切ったそうだ。
 石家荘市は北京の南西約300kmに位置し,比較的北京に近いために鉄道や道路だけではなく,市民の外出も制限するという強力な封鎖に踏み切ったのであろう。

 今までも実際に中国で発表される患者数は,中程度以上の症状が出ていて入院が必須の患者数ではないかという疑いがある。 去年末のCNNのnewsに拠ると,世界で最初に今回のcoronaが広がった武漢市では公式に発表された患者数は50,354人であるが,最近のCCDC(中国疾病预防控制中心)の調査では武漢市民の抗体陽性率は4.43%にも上っているので,人口1,100万人に当てはめると患者数はおよそ50万人と見られる,と言う。
 これは,武漢市でcoronaのために特別に用意された棺材や骨壷の数から以前推定された死者数5万人と,なぜか符合する数値である。 すなわち,中国では患者数は発表数の最低でも10倍である,と考えておくのが正しいのだろう。

 先の太平洋戦争中,大日本帝国軍の大本営発表では,この手の方法で戦力や被害の数値をごまかし,敗北を「転進」と言い換えるなどの方法で事実を糊塗していた。
 中国でも,数値の誤魔化しの裏には,いろいろな事実の言い換えや事実そのものを「化大爲小,化小爲無」という手法で消し去ることが横行しているに違いない。

 現在中国国内であっても,感染の危険がある都市からの移動・入域を制限している省がたくさんあり,例えば雲南省では,「14日間の集中隔離+PCR検査2回+抗体検査1回」後,初めて省内での行動が認められる。  これはcorona virus抑制済みという公式発言とは異なり,coronaの危険が中国から去ったのではなく,患者が発見されていないだけであることを示しているのであろう。

 中国の体質については,今後の白日夢でも続けて考えたい。


2021年2月1日 令和の道鏡

 今,令和の道鏡になるのではないかと噂されている人物がいる。 小室圭氏である。
 弓削道鏡は名前から分かるように僧侶であるにも拘らず,奈良時代に政治に深く立ち入り太政大臣にまで登り詰め,第六人目の女性天皇である孝謙天皇との関係も噂された人物である。
 果たして圭氏が,道鏡並みの教養と政治力を有しているかどうかは不明であるが,かれが皇族の女性に取り入り,それに依って何らかの影響力を利用し,かつ今後も使用しようとしている姿が,道鏡の事績と重なって見えるので,斯様な噂が囁かれているのであろう。

 圭氏の才能に関しては,昨年の6月に圭氏が書いた金融に関する論文が専門誌に載った,という提灯記事が上がっていたが,今年の1月始めにはNewYork州のとあるcompetitionで準優勝を得たという報道もあった。
 記事では,これで圭氏は年収1億円playerになるかも,という平成時代の秋篠宮家上げの記事のようなことが書かれていた。
 Yahooにはこの記事に対するcommentが多数上がっているが,それに対する「返信」という形のcommentもあり,そこには:

東大法学部をトップで卒業し,ハーバード大学法学部に進んだ山口真由さんが,勉強についていくのに精一杯で論文を書くひまなんてなかったと言っていました。
国際基督教大学卒業の門外漢が準優勝です。 しかもバックには(税金からの)有り余る金を持ち,裏工作と虚栄が大好きな秋篠宮一家がついています。
推して知るべしです。

などと言われてしまっている。
 美智子上皇后から影に日向に支援を受けている秋篠宮家が,雑誌社にいくら手を回して圭氏を眞子さまの婿にふさわしいようにでっち上げようとしても,国民はSNSなどを通じてすでに完全に本当のことを知ってしまっているのである。

 お金や身分に関して言うと,眞子さまは圭氏と結婚せずにずっと内親王を続けるほうが一番得する。 内親王を続ければ皇族費として毎年無税で使途を報告する必要がない(税金からの)915万円がもらえるし,上手くすると皇女制度でさらに600万円が上乗せとなる。
 しかも33億円の新築の皇嗣邸に広い自室を確保し,帰国した圭氏との同棲生活も可能である。 圭氏も下手に仕事をするよりも,形だけ外に住んで実質眞子さまの所に入り浸ることができる。 結婚という形式よりも愛があるのだから実質得になる。
 皇嗣邸への入り浸りは,紀子妃の父親の川島教授一家がやっているので,圭氏の母親も自由に出入りや宿泊が可能となる
 ご公務も降嫁した皇女よりは内親王の方が価値が高いから,収入の面でも有利であり,国内はおろか海外へも二人で税金を使って,VIP待遇で出かけることができる。 圭氏も堂々と婚約内定者として準VIP待遇で,講演などでの収入も川島教授と同様に見込める。

 子供が出来たら圭氏は認知すればよいし,子供は眞子さまの子供として皇族になる。
 もしかして,悠仁さまに何かあって皇位を継げなくなった際には,たとえ降嫁した愛子さまのお子様が男の子であっても,圭氏の子供の方は皇族だから,優先して天皇となることも可能となる。 こうなると圭氏は天皇の父親である。 中国皇帝の外戚以上の権威者になる。 始皇帝に対しての,呂不韋の立場かもしれない。 でも中国史にしたがえば,呂不韋だと殺されてしまう運命かもしれない。

 小室氏も自分の母親の渡世に見倣って,このように令和の道鏡になる計算をしているかも知れない。


2021年2月3日 高貴薬と薬九層倍

 高貴薬とか薬九層倍という言葉がある。 現在の日本ではすでに死語になってしまっているかもしれないが,事実の方はどっこい生き延びていて,ますます繁茂している。 高貴薬はもともと漢方薬で使われた用語で,漢方薬局や漢方医の間では今でも通用している用語である。

 高貴薬の代表的なものとして,(高麗)人蔘(ウコギ科の多年草で,中国東北部から半島北部に自生,食用のニンジンとはまったく別種)とか牛黄(“ごおう”と読み,牛の胆石のこと)などが珍重された。
 人蔘(参は略字)の種が江戸時代に日本に導入され,御種人蔘と呼ばれるようになるまでは,人蔘は主に朝鮮半島からの輸入に頼っており,代金として年間11tもの純度80%の「人蔘代往古銀」と呼ばれた銀貨が支払われていたという。 これは現在の銀価格で約9,000万円にのぼる。
 人蔘は今でこそ100g当たり1万円行かない価格で売っている店もあるが,江戸時代には一本1両という値段がついた高貴薬であった。 長屋の住人なら1両あれば一家が一ヶ月は食えたとか,吉原の昼三(高級女郎)の揚代が3分(4分で1両)だったのだから,本当に高貴薬だったと言える。(“貴”は,中国語では値段が高いという意味にも使われている)

 ところで,現代はこんな金額では済まない高貴薬が出回っていて,日本の保険財政を圧迫しているという。 日本を始め欧州など多くの国では,保険治療に使える薬の価格は国が薬価を決めているが,自由競争が建前の米国ではすべての国民が一律に加入する健康保険はないし,保険会社の医療保険は保険金額に依ってかかれる医者や使える薬を限定している。 すなわち薬の値段は薬品のsupplierが自分勝手に決められるのである。
 その手前勝手の例として,原生動物のToxoplasma gondii(トキソプラズマ)にかかった人を治療する薬のダラプリム(Daraprim)がある。 この薬は一般名をPyrimethamineと呼び,1953年から治療に使われているが,特許は切れていても米国内では製造している会社が一社しかなかった。
 Toxoplasmaは全世界人口の1/3が感染しているとされる厄介な寄生虫で,終宿主の猫の糞尿から感染るとされている。 そのためgeneric(特許が切れた後に発売された後発薬)医薬品が全世界に出回っていた。 しかし米国ではこのgeneric医薬品が利用できないことに目をつけたhedge fundで仕事をしていた32歳のMartin Shkreliが,この薬を製造していた製薬会社から製造権を買取り,あらたに興した会社で,従来13.5USD/錠だった売値を56倍の750USDに値上げした。
 漢方薬の世界では,仕入れた薬草を高く売るのが当たりまえだったので,薬九層倍という言葉があったが,このDaraprimの値上げは9倍などという穏やかなものではない。 この事件は同社のCEOのShkreliが,別件の証券詐欺罪の連邦犯罪で告発されFBIに逮捕されたことと,豪州の高校生たちがPyrimethamineを学校の実験室で作りだすことに成功し,米国での独占製造の壁を壊してしまったことで解決し,現在は世界の多くの国で1.5USD/錠程度で入手できる。

 しかし,癌の治療薬となると,漢方の高貴薬など足元に及ばないくらい飛び抜けて高くなる。 2018年にNobel賞に輝いた京都大学名誉教授の本庶佑博士と小野薬品工業が開発したOpdivo(商品名オプジーボ,一般名Nivolumab)は,2014年に皮膚癌の一種である悪性黒色腫(Melanoma)の適応薬として発売されたときには,約73万円/100mgという薬価が承認された。
 この抗癌剤はあまりにも値段が高かったが,適応範囲が広がり売れ行きも伸びたので,2019年には約17万2千円/100mgまで薬価が下げられた。 これでやっと人蔘並になったと言える。
 Opdivoは従来の抗癌剤とは異なり,自分の免疫が有効に働くようにして癌細胞を攻撃する(注1)。 この意味では画期的な薬剤ではあるが,今後も適応対象となる癌患者の見極めが重要なpointとなるであろう。

 新型corona virusに対する薬やvaccineについても,今後同様な高貴薬問題が発生するだろうと予測されるであろう。 現在は,日本政府は国民全員にvaccineを無料接種すると発表している。 接種費用を取れば,当然ながら網から漏れた患者が大量発生し,corona禍の収束は大幅に遅れるであろうことは明らかであろう。
 この問題については,もう少し情勢を見極めてから再度白日夢を見たいと思っている。


注1
 癌細胞では免疫からの攻撃を避けるため,免疫T細胞の表面にある過剰免疫防止用の判別機構であるPD-1に結合して免疫を無効化してしまうPD-L1という突起を出している。 Opdivoはこの免疫回避結合のPD-1側に取り付き,癌細胞の免疫回避能力を抑えてしまうMonoclonar(モノクローナル)抗体である。
 Monoclonar抗体とは,特定の相手に対しての免疫を保全している免疫B細胞が作り出す免疫を実現している蛋白質(免疫Globulin)であり,Opdivoでは免疫Globulinの構造を真似て癌細胞の免疫回避手段を封じるという巧妙な手段により,癌細胞は免疫T細胞よって破壊されてしまう。

 分かりやすく説明すると,癌細胞は限りなく増え続ける暴力団のような連中であるとする。 それを捕まえようとする刑事が追いかけ,逮捕しようとしたときに,いきなりオレは犯罪者ではないという葵の紋入った印籠を見せて逃げてしまう。 白血球が犯罪者である癌細胞を見つけて,いざ逮捕しようとすると,じつは仲間だよという標識を出して,白血球を欺くのである。
 さて,このようなMonoclonar抗体薬は,Opdivoを含み2020年8月の段階で6種類あり,いずれも癌細胞の防御力を削ぐことで,免疫の力で癌を治療しようというものである。 Opdivoは適応範囲が限定はあっても悪性黒色腫以外に「非小細胞肺癌,腎細胞癌,古典的ホジキンリンパ腫,頭頸部癌,進行・再発胃癌,悪性胸膜中皮腫」にもすでに医薬品適応されている。
 問題は奏効の割合が当初の期待よりも低い事である。 Opdivoを使ったこの癌細胞の免疫回避機構を阻害する方法が適応できる癌患者の割合は,部位と症状により実際には10%~半数と言われている。 有効でない癌患者には無駄な投与となる上に,奏効判定を待つ間に癌が進行してしまうという問題も抱えている。
 現在,肺癌について血液中の物質を解析してOpdivoの奏効判定する方式が,東京慈恵会医科大学と東京医科大学の研究teamで進められていて,2020年の時点で90%以上の確率で奏効判定ができるという話である。


2021年2月10日 武漢corona

 報道に拠ると,米国のBiden新大統領は去る1月28日に,中国の武漢で発生した新型corona virusは政府の用語上で,China virusあるいはWuhan virusと呼んではならない,とする大統領令を出した。 米国内のAsia系住民に対する差別が発生する虞があるという理由である。
 ただ,過去にも流行病はそれが最初に発見あるいは広まった国や都市の名前が使われるのが慣例になっている。 ところがWHOは中国におもねる事務総長の指示で,中国を意味する用語を強引に避けて,COVIT-19などという訳が分からない名称を付けた。
 さらにWHOの武漢調査団は,9日に現地で会見を開き,武漢研究所漏えい説を否定した。 中国は調査団の受け入れに際して,“武漢は新型corona virusは発祥の地ではない”とする発表をすることを強力に要請し,かつ武漢あるいは中国起源説を否定する学者のみを入国させた。

 2019年末に新型corona virus感染症への警告をいち早くSNSに発信した,湖北省武漢市の眼科医李文亮氏(34)は,治療した患者から自分自身も新型coronaに感染し,昨年の2月7日に亡くなった。 かれは,“デマを流した”として政府から処分されたが,当局は李医師を英雄視する市民の命日の追悼行動が政府批判につながることを警戒し,献花や墓参を規制する厳戒態勢を取った。 SNS上には李医師をしのぶ投稿があふれた。 それまで規制対象外であった,音声のみで行うSNSのchatまでも,政府によって禁止された。

 おりからWHOの調査団が武漢の現地入りして調査をしていたが,かれらは何の情報も得ることなく空手で中国を去った。 中国はこの一年で,今回の新型coronaが武漢から世界に広まった証拠を完全に消し去ったから,安心して調査団を受け入れたのである。 証拠の消し方は旧来の「殺人滅口」から建物などを完全に撤去するなど,あらゆる手段を弄したと思える。 それが事故を起こした高速鉄道の車両を埋めて証拠隠滅したように,3,000年来の中国の伝統的手法であるからである。

 ここで中国という背景では一番可能性が高い武漢coronaが発生し広まった経緯を,白日夢として書いてみよう。
 李某は武漢微生物防疫研究所(架空名称,中国科学院武漢病毒研究所という組織は存在する)の研究員で,主に殺人virusの作成とそれに対する自己防御の方法の研究を,上からの命令で行っていた。 人に伝染するとほぼ100%助からないという殺人virusは,戦争を仕掛けようとする国ならどこでも研究している。 もちろん,言い分はvirus戦を仕掛けられたときへの対策だと,正当化するだろう。 旧日本軍も,同じような建前で,そういう研究を進めていた。

 そうして,ある日研究に使っていた蝙蝠を処分することになり,李某は処分する係である人物張某に始末を命じた。 ここで中国人特有の行動が起きる。 何か処分や管理を命じられて,自分の権限下にあるものの始末は,張某の自由である,と考えるのである。 日本ならあり得ない考えであるが,これが標準的中国人の思考法である。
 たとえば門番を命じられた王某は,門を通して良い人間はあらかじめ教えられているが,それ以外に臨時に通りたい人間を通すかどうかは王某の権限である,と考えるのである。 したがって,何がしかの利益供与と交換に,突然やってきた人間を通してしまうのである。 言ってしまえば,誰を通すかが王某の生業となってしまうのである。

 この理屈よって,蝙蝠の始末を依頼された張某は,蝙蝠を焼却炉で焼く代りに,そぐそばにある武漢海鮮市場(架空)で売ってしまうことにしたのであろう。 焼却するよりも売ったほうが儲かるから,中国人としては当然の判断である。 それまではvirusに罹患していた蝙蝠が少なかったのか,virusが旧来のcorona virusに罹患していただけか分からないが,人に移っても簡単な風邪症状で治っていた。 それ以降の武漢coronaの広がり方は,中国のWHOに対する工作の効果もなく,中国政府の予想を遥かに上回るpandemicとなって現在に至っているのは,多くの人が知るとおりである。
 ところが2019年の夏頃から,今回拡がった武漢virusが研究の対象となり,李某のいる研究所では当然ながら弱毒化vaccineの開発を始めた。 弱毒化vaccineの開発には1年半位掛かるのが普通なのに,何故か2020年の暮には50%の人にしか効果がないという噂がある弱毒化vaccineを,世界にばらまき始めることが出来たのであろう。
 今年1月24配信のディリー新潮の記事によると,中国が新型コロナのワクチン開発を始めたのは2019年8月だと推定されている。

 このような白日夢を見ると,今回の武漢での流行とその後のvaccineの開発の過程がよくわかる。


2021年3月17日 Rubicoを渡る

 Latin語でRubico(ルビコン川)とは共和制のRome(Latin語,英語ではRoma)と北方の属領との境目の小川である。
 古代Romeの共和制を廃して永久独裁官になったIulius Caesar(ユリウス・カエサル)が,BC49年1月10日に元老院の反対を押し切って軍隊を渡河させた。 したがって,“ルビコン川を渡る”とは,もう引き返せない点を超えたという意味として使われている。 すなわちturning pointである。

 混迷の度を極めている日韓関係であるが,韓国が何時ルビコン川を渡ったのかということについては,いろいろな意見があると思う。 養豚家はあえて,2011年に元サッカー韓国代表奇誠庸(キ・ソンヨン,32歳)がサッカーの日韓戦で見せた「猿真似ゴール」でルビコン川を渡ってしまった,と思っている。
 奇誠庸は,この行為を批判されると「観客席の旭日旗を見て涙が出ました。私も選手である前に大韓民国の国民です…」と言い,自分の悪さを隠しつつ巧みに韓国人サッカー・ファンの同情を誘った。
 その後の調査で,観客席に旭日旗があったのは嘘と判明したが,彼は韓国国内での根強い「反日無罪」を巧みに利用した。 これは,売春婦でしかなかった女性が突然数十年前の記憶を思い出し,強制連行された慰安婦に化けたのと同じく,半島人は息をするように嘘を付くという確かな見本である。

 この結果,日本では嫌韓感情がいわゆるネトウヨだけのものではなくなり,一部の韓国演芸や歌に憧れるバカ共以外の日本人が共有する感情となった。 親韓派として有名な毎日新聞社の堀山明子特派員や(ほとんど反日言動しかしてこなかった)新任の姜昌一駐日韓国大使が,日本の嫌韓感情の急な変化に改めて驚いているのは,このturning pointに気が付かなかったからであろう。 慰安婦問題では,多少の後ろめたさを持っていた日本人も,日本が受け身になる必要がないサッカーの試合で,さらに関係ない旭日旗を持ち出された違和感で,馬鹿な反日国家の異常さに気がついたのであろう。
 なお,この奇誠庸は韓国国内でもいろいろとやらかしているらしく,彼から性的被害に遭ったという人物が被害を訴えている。 人口あたりの偽証や詐欺が日本の100倍近くもあるという韓国のことだから,この告発も嘘かもしれないが,そのような行為をしかねない軽薄な人物であるど見做しても良いかもしれない。

 眞子内親王と小室圭の問題も,天皇陛下の2月23日付けの誕生日の記者会見で,大きな暗礁に乗り上げた感があるが,なぜこうなってしまったかと言うと,3年前に一片のcommentで小室家の借金問題は解決済み,と告げてしまったことがturning pointになってしまったと思う。
 この時点で,たとえ嘘でも「援助を受けた400万円は今後少しずつでも返済していく」とでも言っておけばよかったのであるが,弁護士まで使って返す義務が無いことを主張してしまった。
 その後の経過は,過去の母子の悪業がどんどんとほじくり返され,さらには昨年の眞子内親王の,

この度,私がこの文章を公表するに当たり,天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下にご報告を申し上げました。 天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下が私の気持ちを尊重して静かにお見守りくださっていることに,深く感謝申し上げております。

という,実際には天皇皇后両陛下の裁可も経ずに,両陛下を出汁に使った自己の正当化発言によって,彼ら二人の言うことは嘘だらけである,という印象を国民に与えてしまった。
 いまさら,どんなにマスゴミを使って彼らの結婚を持ち上げようと,国民は覚めてしまっているし,最悪「納采の儀」を強行でもしたら,天皇制は令和でお終いで良いという,天皇制不要論に火を点けかねない。

 悪夢のような日中戦争の発端は,本来は当時の満州国との国境である山海関の東に駐留していたはずの関東軍が,いつの間にか北京郊外の豊台や通州まで進出していて,1937年7月7日に盧溝橋事件を起こし,その後の歴史はもう引き返せなくしてしまった。当時日本軍側は国民党軍が悪いと主張していたが,そもそもは国境を超えて進出していたことに問題があったのである。
 なお,天津および北京には関東軍の進出とは関係なく,列強各国の居留民の保護という名目で,米英仏伊日の軍隊が駐留していた。 その後の流れは,対米戦争へと一気呵成に突き進んでしまった。毛澤東はこの日本の対中侵略を,対国民党内戦に勝利するのに役立った,とたいへん評価している。

 ルビコン川を渡って,引き返せる時点を超えたこと自体は,渡った時はそれほど自覚はないかもしれないが,後から考えると,そうだったのか,と気付くことが多い。
 人生でも,進学先,就職先,結婚・離婚など多くのturning pointがあるが,人は残念ながら先のことは見えないので,そのときに一番得になると思った選択をしてしまう。 運がよいとそれが最善の選択であることもあるが,養豚家の経験からすると,基本的には最悪の選択から2番目位の選択であることが多い。
 即決即断は一見よいことのように見えるが,経験に学ぶのではなく,過去の歴史によく学んで,じっくりと後悔することが少ないような選択をしたいものである。


2021年3月20日 近世という時代区切り

 話は古くなるが,江戸末期に生まれた京都学派の泰斗内藤湖南は,中国の歴史区分について唐と宋の間に線を引き,中世的であった唐の末期から五代十国の遷移期を挟んで宋代からは,世界でもいち早く近世に入った,との学説を打ち出した。

 話題は,では中国はいつから近代に入ったかということである。 中国は清代後期に列強からの蚕食を受け,日本の江戸時代末期に英国との阿片戦争に破れた。 国を近代化をすべしという世論が興り,「中体西用」というsloganの下に「洋務運動」が日本の明治維新期に同期し,日本より大規模かつより速く行われたが,実は結ばなかった。
 日本でも近代化のために明治初年期には鹿鳴館など形ばかり西欧化することが流行り,「和魂洋才」など日本の伝統的考え方を維持しながら近代化を目指した部分が多い。 しかし,形ばかり中途半端に近代化した日本はやがて夜郎自大になり,結果として1945年の敗戦を迎えた。 日本が曲りなりにも近代市民社会に突入するには,明治維新以来じつに80年近くの歳月を必要としたのである。

 では,中国はどうかと観るに,湖南に依ると宋代にはすでに近世的な国家と経済が完成していたにもかかわらず,モンゴルの侵入によって,約120年間にわたり近世国家の樹立を中断させられることを余儀なくされた。 朱元璋が興した明によって,元は首都「大都(北京)」を追われ北元となるまでの間,近世国家に邁進することに大きな足踏みがあった。 この間欧州では宗教改革が興り,多くの国々が近代国家に生まれ変わり,その強力な国力(軍事力)を背景に大航海時代を迎えた。
 明は,形としては近世の絶対君主制の国家としてその政治体制を構築した。 しかしその国家観は「鶏犬相聞」という商(殷)代の超農本主義であった。 そしてその統治思想に,明の国姓と同姓の朱憙が南宋代に唱えた儒教の解釈である朱子学を採用した。 そのためか,明三代目の永楽帝の勅命で,鄭和が7度も大艦隊を率いて東南Asiaから印度・Africaを航海したにも関わらず,海禁政策を採用し事実上の鎖国を敷いた。 すなわち,大航海時代に乗り遅れたのである。
 この間の動きは,遅ればせながら徳川三代目の家光が鎖国したことが似てはいる。 この鎖国により,西方大名や商人達が持っていた日本の東南Asiaに対する権益は,台湾に至るまですべて欧州諸国に奪われた。

 故毛澤東はこの明を手本として,共産中国の建国後に大躍進政策や完全に失敗に終わった文化大革命を発動した。 その結果中国は,近代共産主義とは名ばかりの原始共産制なみの,近世の絶対君主制国家体形を維持することになった。
 唯一神であるAllāh(アラビア語のRoma字表記)を信じるIsram教徒とその国家は,もちろん近世あるいはもっと古い中世型の絶対君主制国家体制を維持している。 すなわち中国は,それらIsram諸国家と大差ない前近代の政治思想を堅持している絶対君主制の国家のままであることを理解しなくては,かれらの行動を見誤ることになる。
 モンゴルの侵入によって遅れてしまった近世化は,またしても共産党が覇権を取ることで,政治の近代化をも遅らせてしまった。 その遅れ具合は,中国共産党の一派に成り下がった台湾の国民党が,野に下った後の台湾を見ればよくわかる。

 中国の考え方は100%以上朝鮮半島に伝来し,中国以上に儒教国家となった。
 今,中韓を観察するには,どうしても「天」という中国西方の牧畜民であった周の種族が持ち込んだ概念を外すわけには行かない。 それまで中原を支配していた商(殷)の中心思想は,日本や古代Greekと同じ自然崇拝から始まった祖先神を中心とする多神教であった。 そこに西伯の周が「天」の子である「天子」が国を治めるという考えを持ち込み,最後は儒教という形で統治思想としてまとまった。 一方中国での自然崇拝は,老子を始祖とした形で,道教ということで残っている。
 そうして,儒学,特に朱子学が中韓の統治思想として,未だに国家や家族の行動を規定している。 さらに一般人やその家族の日常の行動様式は,道教の影響が残っていて,意外と迷信深いところがある。 関帝廟などの道教の廟で,お線香を上げて商売繁盛を祈る様は,今でも世界のあちこちで見受けられる。 なお,仏教は何回か国家水準の保護に入ったり外れたりして,現在は観音菩薩信仰が残っている。
 これら,重層化した精神世界を根本に置いて,さらに「天」と朱子学の軛から抜けずに,近代化に躊躇しているのが中国の現実であり,彼らを見るのにこの観点を忘れると,彼らの言動が意味不明となる。

 このように近代国家の形だけ真似て,近代国家の体をなしていない国は,中国だけではない。 韓国はその最たるもので,日本の通信社の記事に拠ると今年の2月8日に,

Soule中央地裁は故人を含む旧日本軍の元従軍慰安婦の女性12人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟で,請求通り1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。

ということだそうである。
 このようなことは,戦争状態にある国家同士なら起こりうるが,平常に国交がある国家同士ではたとえ相手が中国でも起こり得ない。 Isram圏の極端な国々で国交断絶や戦争も辞さない,という場合なら可能性はあるが,日韓のように一応国交がある国同士では,通常は近代国家間の主権免訴の原則によって,自国内の裁判所で他国の政府を裁くことはしないし,裁けばそれに応じた対処をされるのが近代国家である。 韓国が,中国以上に中国である「小中華」と呼ばれる所以である。

 韓国の文政権は三権分立と称し,自国の裁判所が他国や他国との条約を裁くのを放置し,一方では裁判所や検察の人事以外にも具体的な案件にまで口出しをするという二枚舌政策を取っている。 このような観点が生じるのは,「天」の概念とそれに基づく朱子学を国の根源的な規範とするからではなかろうか。
 本当は,彼らとは接触しないのが一番良いのであるが,そうは行かない点が悩みではある。


養豚家の白日夢-2021年冬版(1,2,3月)