養豚家の農場

(C) 2005 Dr.YIKAI 2005年12月27日更新
中国語のfontが上手く表示できない人は注意書きを見よ
なぜお経
読みはだめか
軽声は声調がないのではなく消えたのだ
お経
なぜお経読みはだめか
【般若心経を読む】
☆ 般若心経の出だしを書いてみた
- お経読みといわれてしまう読み方がある。
- 觀自在菩薩 行深
般若波羅密多 時
照見 五蘊皆空 度 一切 苦厄 舎利子
色不異空 空不異色 色則是空 空則是色 ・・・。
- これは有名な唐の三蔵法師玄奘が訳したと伝えられている,般若心経の出始めである。
お坊さんはお経を覚える際,これを頭から音読みでずるずると読む。
註:般若心経は,西域の天山北路出身の僧鳩摩羅什が,
多数の経典を中国語に訳した際に,大般若経の粋を簡潔に表現するために最初に作ったとも言われている。特に,「色即是空」以下の8文字は鳩摩羅什の作であるという。
- くわんじざいぼさつ ぎやうじん はんにやはらみつた じ,・・・。
註:より正確さのために歴史的假名づか
ひを使った。
- この読みと今の北京語での読み,
guānzìzài púsà xíngshēn bōrěbōluómìduō shí, ・・・。
とを比べたとき,どちらがより原音に近いか,
ということは簡単には判断できない。
- たぶん,唐代の中原の民の末裔が話すといわれる客家語,入声音が残るという広東語,
昔呉の国に入植した中原の民の子孫がいるという閔南語などで読めば,より近いかもしれない。
☆ お経の念じ方の由来は?
- お経が伝来したときの中国語の読みをなるべく正確に残すために
,お経が伝来した時期の呉音(六朝時代の中国語が朝鮮を経て伝来したものが多い)で読む習慣がある。
- この般若心経の読みは漢音(唐代の発音が伝来したもの)が混ざっている。宗派で違うらしい。
註:六朝から唐への大変革期に,言語系が異なる民族の参入も含めて,
中国語の発音が大きく変化した。
その前後に中国から漢字とその発音を大量に導入した日本としては,同じ字に2系統の発音が発生し,
たいへん迷惑であるが,中国語の変遷を写真に取ったように保存している。
文化財だといえる。
- お経読みは,せいぜい時々息が入るだけで,平板というか棒読み。 英語ではplaneと言
われて怒られる読み方だ。
この読みかたで,何かを聴いて理解するには,訓練が必要だ。
- 伝来した音を忠実に守るためにお経読みになった。
学んだ音を忠実に守るためのお経読みは不可。
【英語の轍を踏む】
☆ 英語らしくするには抑揚が必要
- 英語では強弱のaccentが最重要で,それを間違うと同じ発音でも意味が変ってしまったり,
聴き取れなくなる。
そこで入学試験にもaccentの問題がたくさんでる。
- では,accentが正確なら会話ができるか。だめ。
句や文の中での音の抑揚(intonation)が,会話の理解を助ける。
でも,これは英語の辞書には載っていない。
☆ 中国語らしくするには
- 中国語の抑揚は声調(四声)として辞書に載っている。
しかも1音節ごとに固定。こりゃ楽だ。
ちょっと待て。逆に英語の強弱accentに相当するものは中国語の辞書にない。
- いやある。軽声がそうじゃないか。その通り。軽声だけ弱く発音し,あとは同じでいいか。
そうはいかない。これだけでは,英語とまったく逆の意味でnativeに近い会話ができない。
- 言語によらず,普通の会話は,
- 抑揚(中国語は声調で自動的に決まる)
- 強弱(英語は単語ごとに決まっている)
- 長短(日本語や英語では母音に区別がある)
- 停頓(息継ぎ,小休止)
などが揃って,初めてお経とは異なり,聴き易くなる。
もちろん個々の音が正確でないと,この段階での議論は無意味。
- 中国語では,
らしい(自然)かどうかの決め手は強弱と停頓だ。
なぜお経
読みはだめか
軽声は声調がない
のではなく消えたのだ
声調消滅
軽声は声調がないのではなく消えたのだ
【軽声で意味が変る】
- 四つの声調が出来るようになると,軽声を練習しなければならない。
- やれやれ,やっと四つの声調が出し分けられるようになったのに,それが要らない。気に入らない。
- しかも軽声は長さも短い。だから武侠電視劇で「師傅」を遠くから呼ぶときに,
「shīfu-e!(師傅ー!)」となるのかな。
- 中国語では英語と違い, 音の強弱・長短は基本的には意味には影響しない。
その例外が軽声。違う単語(文字)が,
yănjing (眼睛), yănjìng
(眼
鏡)
zhŭyi (主意),zhŭyì (主義)
と軽声かどうかで決まる。
- 字は同じでも,軽声で意味が変る単語もある。
dìfang / dìfāng
(地方), lăozi / lăozĭ
(老子)
日本語の意味は,前者が場所 / 地方,後者が親父 / 老子(人名)となる。
これはひとつずつ覚えるしかない。
【ふだんは軽声の字】
☆ 軽声は行ったり来り
- yíge rén(一個人)
の「ge」は普通は軽声に発音する。
しかし,特にゆっくりと言うときや強調するときは「gè」とちゃんと第4声で読む。
búshi(不是)な
ども同じ。
軽声に発音する単語はこのような使い方が多い。
- 声調が出たり消えたりする。四つの声調と軽声の間を行き来する。基準は何か。
基準は,強く発音すると声調(四声)が付き,
弱く発音すると消える,ということ。
決して五つめの声調ではない。
☆ 中国語から声調が消える?
- 最近の中国人の若い人の発音から声調が消えたと言う人が,
研究者や知人から相次いでいる。
養豚家が付き合う中国人は,老頭兒ばかりなので,気が付かなかった。
留学生などと関係がある人は,この傾向を強く感じるのかもしれない。
- まあ,この発音を聴いてみて。
Nide shengri jiyue jihao?
(你的生日幾月幾号?)
註:この例文には声調符号が付けてない。
これでも1/2 octave程度の抑揚があるので,ましな方と言える。
【軽声にならない二音節語】
☆ 重讀
- 中国語では強く発音することを「zhòng(重)」,
弱く発音することを「qīng(軽)」といっている。
ちなみに軽声に対する重声という用語はない,
「zhòngdú(重讀)」あるいは「zhòngyīn(重音)」という。
- 重讀する場所で意味が変る単語もある。
これもひとつずつ覚えるしかない。
guònián
(過年),
guònián(過年)
は前を強く読むと,来年の意味になるし, 後
ろを強く読むと,年越しの意味になる。
註:ここでは重讀する字を太字で示した。
☆ 二音節語は後ろの音節を強く読む
- 一般的に,二音節語の後ろの字は軽声のとき以外は,強く読む。
- 日本人は単語(熟語)の後ろを弱く読む癖がある。
弱く読むと第4声になる傾向が出る。
註:この傾向は日本語だけではなく,
中国語もかつて唐代に「-p」,「-t」,「-k」などの韻尾で終わっていた入声音が,
それらの韻尾が弱くなって母音化あるいは脱落したときに,
多くの字が去声に読まれた。
唐代の音を反映した日本の漢音で「キ,ク」や「チ,ツ」で終わる字の中でも,
「lì(立)」,「sè(色)」など北京方言で第4声(去声に近い)に読む字が多くある。
【三・四音節の単語の軽声はどうなる】 (未完)
☆ 三音節の単語
- 「-huà(-化)」,「-yuán(-員)」,「-zhàn(-站)」など,
種々の接尾語や性質・分類を表す字が付いた合成語は, 最後の音節をはっきりと発音する。
xiàndàihuà (現
代化),
huŏchēzhàn (火車站)
dāoxiāomiàn (刀削麺),fúwùyuán (服務員)
- 最後の音節が,「的,着,子」などの軽声の字では,
やはり軽声で発音する。
kāichēde (開車的)
- 「-hūhū(−乎乎)」,「-yāyā(圧圧)」など状況を表す接尾語が付いた合成語は, 最後
まで軽声にならない。
rèhūhū (熱乎乎),
hēiyāyā (黒圧圧) 註:黒圧圧は日本語のfontを使った。
これら「熱乎乎」形式の単語は最後に「−的」を付け,
「熱乎乎的」と四文字になることも多い。
- 外国語の音訳でも最後ははっきりと発音する。
Ālābó (阿拉伯),
- 三文字の単語で比較的安定しているのは,上述の形式の単語が多い。
その他の構造はもちろん上述の形式でも,言い縮めて二音節になりやすい。
báikāishuĭ
(白開水)→báikāi (白開),
fēijīchăng (飛機場)→jīchăng (機場)
☆ 四字熟語
- 四字熟語や四字単語は,最後を強く発音する。
2音節めは心持ち軽くなることが多い。しかし,声調はしっかりある。
shèhuìzhŭyì
(社会主義)
註:養豚家は日本は中国よりもよっぽど社会主義の国だと思っている。
chéngqiānshàngwàn
(成千上万)
☆ 二字の単語の重複形
- 形容詞は基本的に四字熟語と同じ。
gāngānjìngjìng
(干干淨淨),
- 二字の単語がない形容詞や副詞も同じ。
kŏukŏushēngshēng
(口口声声),
- 元の単語の後ろの音節が軽声の形容詞では,
元の声調が復活。
四字熟語と同じく最後を強く発音。
míngmíngbáibái
(明明白白),laolaoshishi (老老實實)
- 動詞では,重複形でも軽声は保存される。
shāngliangshāngliang (商量商量),shōushishōushi (収拾収拾)
なぜお経読みはだめか
軽声は声調がないのではなく消えたのだ
以下未完