甲状腺の生理学
(2004/3/17更新)
◇ 甲状腺hormone(ホルモン)
名 称 | 記号 | |
thyroxine(サイロキシン/チロキシン) | T4 | |
tri-iodothyronine(トリヨードサイロニン/〜チロニン) | T3 | |
thyroglobulin(サイログロブリン/チロ〜) | TG | 甲状腺組織の濾胞腔に貯えられているT3,T4の前躯体 |
calcitonin(カルシトニン) | 甲状腺で造られるが,甲状腺hormoneではない |
T4とT3は甲状腺内の細胞でTGが分解されると出来ます。
T3は末梢組織でもT4から脱ヨード化の過程を経て生成されます。T4の約10倍の活性を持つと言われています。
Calcitoninは血中のcalcium(カルシウム)濃度を下げる働きをします。
◇ 放射線障害
甲状腺機能亢進症の治療のために,放射性の沃素を含む薬剤を使うという治療があります。
沃素は身体の中では甲状腺に取り込まれるので,その放射能を使って過大に機能している甲状腺の細胞を壊そうという考えです。
この治療法を積極的に勧める医師と,新たな放射線障害の発生を心配して疑問を持つ医師がいます。
放射線による甲状腺障害は,原子力発電所などの放射線を出す施設や自然界から放射性沃素を摂取しても発生します。
以下に「原子力資料情報室通信」No.252(1995/5)に掲載された,「チェルノブイリ30km圏から避難した小児と青少年における甲状腺の臨床・機能検査」での血液中の甲状腺hormoneの計測結果を引用します。
検査項目 | 対照グループ | 注目グループ | 有意差 |
T3,tri-iodothyronine(nmol/l) | 1.89±0.07(55) | 2.0±0.05(85) | − |
T4,thyroxine(nmol/l) | 129.90±3.50(56) | 128.23±3.62(87) | − |
T4F,遊離thyroxine(nmol/l) | 16.23±0.37(35) | 14.0 ±0.58(64) | p<0.05 |
TSH,甲状腺刺激hormone(μU/l) | 1.92±0.22(31) | 2.78±0.09(78) | p<0.01 |
TG,thyroglobulin(ng/ml) | 15.97±3.57(48) | 29.24±2.20(79) | p<0.01 |
TSG,(μg/l) | 17.41±0.38(48) | 25.19±0.91(84) | p<0.01 |