養豚家の農場

母音が正 しくないと聴き取ってもらえない

© 2005 Dr.YIKAI 2005年5月31日更新


ごたく

養豚家は京都人なので母音は口ごもっていた

ごたくを読みたくないと きはclick

【母音の発音は京都風】

【口は極端に動かす】

☆ 口を開ける

☆ こもり気味の日本人

【母音はカラオケで練習】

☆ 唄うような中国語

☆ カラオケルーム大歓迎

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ここから本論

口を大きく開ける音
青字のpinyinを clickすると音が出る 出ないときは注意書を見る
口をしっかり閉じる音へ
鼻音で終わる音も母音の一種へ
多重母音も1音節で発音へ

【唇を閉じない母音】

☆ どの言語にも母音がある

☆ 相対的な認識

【まず「a」から練習】

☆ 「a」の音の出し方

☆ 「a」を出す練習

【「o」は丸い,それは絶対条件】

☆ 丸くなけりゃ「o」じゃない

☆ 単独の「o」は練習しない

☆ 二重母音の後にくる「o」は,元々は違う音

【口が丸くない「ong」は別の音になってしまう】

【出せない人は十年やっても出せない「e」の音】

☆ 力を抜こう「e」の発音

☆ 「e」は気長に練習

【「e」は2種類の音を同じ「e」で表現している?】

☆ 主体性がない「e」

☆ 練習時には違う音と割り切るのがよい

☆ 「ian」と「üan」の「a」は「ê」か?


ごたく

音韻論のごたく
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 「a」からの/ε/は,音韻的には「e」由来の/ε/と違うことぐらいは, 養豚家だって百も承知。
 じゃあ,以下のような説明を読んだだけで理解して,あとはCDを聴いて自分でなんとかしろ,と言われても・・・。

 北京語は声母(子音)+韻母(介母+主母音+韻尾)で音節が構成されている。 韻母は「er」と「ê」を除くと,音声学的には37種が認められる。
 なお,子音がないときは母音の発音の前に軽い緊張が認められ,それも声母の一種と数えることができる。

 韻母の中の主母音は,広母音「a」,中母音「e」,狭母音「i」の3種からなる。 主母音の前に付く介母は「・」(ナシ)「i」,「u」,「ü」である。
 また主母音の後につく韻尾は「・」(ナシ),「i」,「u」,「n」,「ng」の5種が認められる。
 なお,「o」は「e」と同時に使用されないところから見ると,相補的に使われている,と解釈できる。

 母音の組合わせは,そのすべてが可能なわけではなく,介母と同じ音は韻尾には同時に現れることはない。
 「i/ü」+主母音+「i」や,「u」+主母音+「u」の組合わせは発音経済上作られることはない。
 さらに,主母音「i」は,実際にはその前に付く介母と同化してしまい,介母+主母音があたかも主母音のように振る舞う。

 実際に,生の主母音「i」は,わずかに単体の捲舌音「zhi,chi,shi,ri」と舌端音「zi,ci,si」の母音部として顕れるのみである。
 したがって,多重母音は,主母音「a」と「e」の前後に介母と韻尾が付いた形となる。

 このようにして,可能な組合わせを数えると34種の韻母が極めて体系的に作られていることが分かる。
 音声学的な数と合わないのは,音素として同じものが,音声上は異なる音になるからである。

 あまりに理論が難解なのと,Web上に描出できない発音記号が多いので, 養豚家が偉い先生の著述から適当に纏めた。 勝手に引用し,かつ内容を悪く変更したことにお詫びする。
 ここの引用は,音声と音素,音価の区別が付いていない音韻論などあるか,という批判は甘んじて受ける。
 それにしても,何が体系的なのか,発音を習う立場では力不足で理解できない

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またまた本論

口をしっかり閉じる音
鼻音で終わる音も母音の一種へ

【口を閉じたら音が出ないか】

【「i」は唇を思い切って横に引く】

【「u」は唇を思い切って前に突き出す】

【難関「ü」は日本語にない母音】



ご たく

入声音は日本語漢音に残る
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【漢音は唐代の発音の歪んだcopy】

 日本に導入された漢字音を利用して,現代北京方言の発音を素早く見つける,という危ない方法がある。 この中で絶対的に確かなのは,韻尾の/-n/と「ン」の関係だけ。
 中国語の音節は,声母+韻母で成り立っている。韻母はさらに,介母+主母音+韻尾で成っている。 ただし,発音上は主母音と韻尾は一体化している。
 現在韻尾は/-n/および/-ŋ/が子音で,/-i/,/-u/が母音,さらに/・/(ナシ)のこともある。

 そこで,現在の北京方言で韻尾が/-n/で終わる字は, 日本語の漢音(唐時代の発音を反映したもの)では,例外なく「ン」で終わる,という対応がある。 これは逆も真である。
 同じく/-ŋ/で終わる字は,「ウ」または「イ」で終わる。 「ウ」,「イ」で終わる字は,いろいろな北京方言の音に対応しているので,逆は成り立たない。 これは,/-ŋ/が日本語にはない音なので別の表記になった,ということである。

【入声音】

 中国語の音は,歴史が下るにつれて単純化と複雑化の両方を経て変化してきた。
 大きく分けて,上古漢語(春秋戦国〜三国),中古漢語(六朝〜唐),近世漢語(宋〜明),近代漢語(清〜)と多国分裂や大きな戦乱,異民族の流入などを 期にして変化が表面化している。
 上古漢語の上に太古漢語(〜西周)を置くこともある。 しかし,こと音に関しては研究は進んではいない。

 日本に伝来したのはこれらの内,中古漢語が最大の規模である。 その後の音も事物とともに伝来していて,「行燈:アンドン」,「椅子:イス」など, 漢音とは違う読み方をする。

 中古音の子音韻尾は二種類確認されている。

  [陽類] /-ŋ/,/-n/,/-m/  [入類] /-k/,/-t/,/-p/

 これらの発音は,現在も広東方言では保存されている。 北京方言では,/-m/は/-n/に統一されている。「三」は広東方言では[sam]である。 韓国でも会社名の「三星」を「samsung」と表記している。 ところが,日本の歴史的假名づかひでは「三」は「サン」と振っている。
 /-ŋ/は介母と主母音の種類で日本語の語尾は「ウ」,「イ」の差異があるが, 必ずしも北京方言の発音と正確には対応しない。言ってしまえば,発音推測には役に立たない。
 /-k/,/-t/,/-p/のいわゆる入声音と漢音の間には, /-k/→「キ,ク」,/-t/→「チ,ツ」という明確な対応がある。 /-p/については,歴史的假名遣ひに写し取ってからの音の変化が激しく,入声音は保存されていない。
 /-p/に対応する読みは原理的には「ヒ,フ」になるのであるが, ハ行の音は平安時代の[p-]から次第に変化し, 室町後期には息の破裂がない両唇音の[Φ-]に変っていた。 ついには江戸時代に口をすぼめることすら止めて[h-]になった。 現代仮名遣いでは,この音は「イ,ウ」と書かれている。 これでは/-ŋ/からの「イ,ウ」との区別が付かない。

 一方,これら入声音は北京方言でも失われている。多くは第4声になっているが,素人の養豚家では結局発音推測に使えない。
 漢語の中では韻尾/-ŋ/の発音は,比較的安定に保たれている,と理解するのが正しい。それは,逆に外国人は/-ŋ/の発音には,十分注意を払う必 要があるということである。

【春秋戦国時代は多くの字は子音で終わった?】

 余計なことを言うと,上古音では母音で終わる韻尾は少なく, その一部が中古音で母音化した,と推定されている。

  [陰類] /-g/,/-d/,/-r/ (/-s/) という説もあるが,外国音の翻訳字から/-r/と推定されている)

 この音は用語からも分かるように,有声音で弱く発音されていたのかもしれない。 やがて,主母音の影響を受け母音化し,/-i/,/-u/,/・/(欠落)となり,母音の韻尾になった。
 このため,詩経では互いに韻が踏んであった字も,唐詩では入類の文字との間で韻が踏めなくなった。

【語頭子音には英語の「clock」のような二重(複)子音があった】

 「bōlí(玻璃:ガラス)」のような外来語の音訳ではない, 漢語固有の単語であるにもかかわらず,その物事を表す専用の字を二つ使う2音節単語が漢語にはある。
 その例が多く見つかる/kl-/型では,「kuĭlĕi(傀儡:カイライ,あやつり人形)」, 「gōulóu(佝僂:クル,せむし)」など日本語のカナ漢字変換で出て来る単語もある。 これらは現代中国語でも2文字で使うのが普通である。
 2文字化は,戦国秦漢時代になって中国の版図が拡がり,二重子音の発音が出来ない人が増えた結果, 日本に持ち込まれた入声音と同じように,2音節(2文字)化することで, 概念と字がまとまって生き延びたと考えられる。

 このような二重子音の一つに/ŋl-/があったと考えられている。 /ŋlak/(楽)は/-k/韻尾の音である。 この字は上古では今の「音楽」と「快楽」の両方の意味を持っていたが, 二つの意味に二重子音の前後の音を振り分けることで,1音節のまま生き延びた。 詩経ではどちらの意味でも同じ韻を踏んでいるが, 唐詩では日本漢音の/ŋak/:「ガク」と/lak/:「ラク」で分かるように,発音で意味が別れている。
 北京方言ではこの二つの発音は,/ŋ-/が母音化した拗音介母の影響があり, 別々に音韻変化をして「yuè」と「lè」になっている。

【日本人のアホな誤用】

 なお,「xué(学)」の意味に「楽」を当てて,「何々楽」と称して, 「何々」が楽に学べるという,暴走族がよくやる音のこじつけで名前を付ける人が多い。 小学校で学ぶ,「ガク」と「ラク」の読みの違いによる意味の違いを無視した遣い方である。
 「何々楽」はsiteだけでなく,役所の生涯教育の宣伝にも使われているが, 「学」と「楽」はいまの北京方言でも,明らかに発音が違う。 たまたま日本の漢音で「ガク」という音が共通だからといって間違った使い方をするのは, 漢学の素養がみじんもなくなってしまった現代日本人の日本語力の衰退の現れ。
 ちなみに,日本の漢音の元になった唐代には,「学」は/ŋak/「楽:ガク」とは違い,/ĥak/「学:[ガハ]ック」に近い発音だった。
註:[ĥ-]は本来の記号がないので,似た記号を流用した。 音は喉音[h-]の濁音。


本論にもどった

鼻音で終わる音も母音の一 種

【韻尾の鼻音は前の主母音とまとめて】

☆ まず鼻音をしっかり

☆ 母音「a」は鼻音に引きずられる

☆ 母音「e」も鼻音で変る


本論のつづき

多重母音も1音節で発音 (作成中)

【韻母】

【韻尾に母音が付く】

☆ 「-u」

☆ 「-i」

【前に介母が付く】

☆ 「u-」

☆ 「i-」

未完