Dr. YIKAIの言いたい放題「日本の世相と中国関係」

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2009年1月2日 人口半減
2009年3月9日 批林批孔
2009年5月11日 Red Cliff
2009年8月31日 日の丸の鉢巻
2009年10月3日 負の遺産からの回避
2009年11月11日 後部硝子体剥離
2009年11月30日 沖縄の対中軍事価値

2009年1月2日 人口半減

 人口に関して言うと,日本の役所や与党による日本の将来設計は,ことごとく最悪の予想を裏切って,最低以下の水準で推移している。2005年の国勢調査を使った将来の人口予想では,2050年の予想最低値は9,000万人である。多分これは希望値でしかなくて,現実には8,800万人近くまで落ち込むという民間予測もある。この予測によると2050年には75〜79歳のババアが年齢階層別でいちばん多いことになり,400万人に上る。一方0〜4歳児は230万人しかいないので,ババアが孫に囲まれるというよりは孫の取り合いになる。

 このままだと,来世紀には人口が明治初期並みの3,700万人になるという日本は,2008年は5万人の自然減になったそうである。この減少率は0.4%で,すでに国の予想を上まわっている。もちろん日本で生れて死ぬ在日韓国・朝鮮籍の特別永住者もいるが,かれらは統計上は日本の人口として扱われる。
 日本に住んでいる人間には,海外から日本に定住した社会増もある。花嫁不足を補うために,年間1万人以上の中国人が主に中国東北部から国際結婚という手段で流入している。彼女たちを入れて2007年には約7万人の外国人登録者の増化があったという。
 特別永住者の在日韓国・朝鮮人数は死亡や帰化で年々減り続け,すでに他の一般永住者と人数は逆転している。日本にいる外国人登録者はすでに200万人を突破しており,その内永住者は90万人で,その半分以下の40万人ほどが在日韓国・朝鮮人である。このくらいのpaceでは,今後いかに韓国・中国やPhillipinから社会増が続いても,日本人の自然減を補うことはもう無理である。

 何等かの積極的な移民受け入れ方策を講じて優秀な外国人を受け入れる,という政策が必要である。この政策は意図しなくてもすでに米国で行われており,事実米国の力強さはそのような流入人口によって保たれて来た
 では,なぜ米国なのであろうか。キリスト教右派などが隱然たる勢力を田舎町では持っている米国であるが,西海岸の都市に住む限り,銃の危険を覚悟すれば十分に自由な国であるから,魅力なのである。
 日本も神の国的な儒教道徳丸出しの体制を法律的にも支えている構造を改めて,米国や北欧並に自由と責任の社会にすれば,日本を目指す優秀な外国人が増えると思うが如何だろう?

 私は,麻生の率いる自民党のように政権にしがみ付きたいために,税金で創価学会の財務のお手伝いをするようなバラ撒き給付金を,衆議院の2/3の多数で押し切る国には住みたくない。しかし,今さら英語の学習もできないので米国はおろかAustraliaやNew Zealandにも移住できない。どうすればよいのだろう。


2009年3月9日 批林批孔

 昨年は中国産の食品問題が世界中に知れ渡った年であった。大陸に住む中国人の道徳観が問い直されることになった。
 現在ニセ物商品の生産天国である大陸中国は,歴史的に見て贋物を作る業にかけては,世界に冠たる国であった。古代の文物を明代に贋作した物は,なんとそれがニセ物であってもすでに骨董品としての価値を持っている状況にさえなっている。
 もちろん,皇帝や偉い人の手に贋物が渡ると,それを渡した人だけではなく造った人などそれに関ったすべての人の首が胴体からから離れてしまった国であるから,台湾の故宮博物院にある文物はすべて本物であろう。

 すでに中国国内大都市の高級食品スーパーでは、農薬などの危険が少ない食品が日本以上の価格にも拘らず飛ぶように売れている.政府の幹部や富裕層・華僑・外国人が購入するのである.

 この中国の道徳廃頽に対して,中国共産党政府は現在全国的に道徳高揚の宣伝を行っている。それは中国の生命線である輸出に対し,世界中から疑問の声が上がっているからであり,決して共産党の幹部の口に怪しい食品が届くのを恐れたからではなかろう。道徳高揚運動の柱となっているのは,すでに賞味期限が過ぎ去った儒教思想であるというのがいかにも中国らしい。

 儒教思想は言うまでもなく宗教ではなく統治思想である。中国がまだ多くの地域や国々に分かれて争っていた春秋戦国時代に孔子が学派として提唱した復古思想をその基本としている。すなわち,春秋以前の周代初期の統治を理想とした復古思想である。
 社会が大きくなり,一人の英邁な皇帝がすべての民の面倒を見ることができなくなった時点から,統治思想が必要となった。すなわち人による統治ではなく,思想による統治であり,具体的には学者や皇帝の役人が統治思想を民に強要することで間接的に支配するのである。

 共産党による中国大陸の政権奪取が成功したあと,中国人民は本当に自由の国になった,と一次誤解した。しかし,事態は何も変わらなかったのである。元による異民族支配を追い払った明初期と同じである。満州族王朝の清を倒したあと,混乱の中国大陸をまとめたのは,農民の力に頼った毛澤東であり,そのやり方は明朝の朱元章とそっくりである。
 政権奪取後,毛澤東は急速な共産化と自己の神格(皇帝)化を押し進めようとして,文化大革命という実務処理ができる官僚層の撲滅に走った。
 その結果,中国伝来の儒教の統治思想は壊滅し,毛澤東思想というそれに代る思想教育が施された。もちろんこれに逆らうと無条件で人格否定はおろか生存否定された。
 その後,相手を徹底的に叩くために「批林批孔」運動が展開された。すなわち,毛澤東(思想)体制は危険だと考え,ソ連に亡命しようとした林彪副主席と旧体制を維持してきた儒教思想という相容れない二つを同時に批判する運動である。農民の嫉妬心を使って行われた文化大革命の仕上げの闘争であった。

 毛澤東によって壊滅的になっていた中国の経済は,毛澤東亡き後の改革開放政策で飛躍的に発展しているように見える。しかし,これは単にcostが低い労働集約型の工業によってもたらされた一種のbubble状態に過ぎない。たしかに中国の経済力は宋・明代に世界経済の数分の一を占めていたのであるから,その土地の広さ・資源・人口から見て潜在的には現状よりもさらに大規模になることは可能である。
 しかし,文化大革命とその後の回復期に,統治思想が何もない状態に置かれた中国は,何でもありの国になってしまったのである。

 2,500年以上前の思想で民を愚弄して統治しようという中国は,今年の全国人民代表大会でも,“西欧流の民主主義と政治的な自由は中国にふさわしくない。”と拒絶し,古来王朝が行って来た統治形態を続ける模様である。その結果,共産党幹部による汚職や強姦事件および不良食品などの贋物作り,など西欧近代国家の常識では法律に触れるだけでなく,恥とされるようなことが大手を振ってまかり通っている。
 このような大陸中国と付き合わなくてはならない人は,その本質をよく理解しておかないと,“西欧流の権利義務”については完全に無視され,商取引や滞在外国人の取締でひどい目に遭うかもしれない。


2009年5月12日 Red Cliff

 連休の最終日に三国演義の最大の山場である赤壁の戦いを映画化したRed Cliff part IIを観てきた。もちろんその前提であるpart Iもすでに観た。当然ながら字幕版である。映画に私と同行した人は,孔明役の金城武の流暢な中国語が聴きたい,と言っていた。ちなみに金城武は日台混血で台北育ちの日本人である。中国語の三方言(國語,臺灣語,廣東語),日本語,英語をよくする。

 赤壁の場面そのものは三国演義の愛好者なら誰でも知っている。中国語の外には,映画化で原作からどのくらい脚色がなされるかが関心事である。
 果せるかな,宿敵呉の都督周瑜と劉備の軍師諸葛亮の間に友情が芽生える(?!)という設定であり,後に劉備と政略結婚する孫権の妹は間諜としてして活躍中に蹴鞠の業で千人長となった男に友情(愛情?)を感じる,ということになっている。曹操が手に入れたがっている小喬と呼ばれる周瑜夫人(姉の大喬は先主孫策の夫人)が,健気にも活躍する。
 曹操の退路に埋伏しているはずの劉備軍の将軍たちは,夏口の砦を襲撃するという孔明の軍略から見たらとうてい承服できない行動を起した。まあ,映画は娯楽であるから,この程度の脚色は構わない。中国映画お得意の大軍事場面を十分に堪能できたので,安いものだと思う。

 ところで諸葛亮孔明は,現在の精神医学の観点から判断すると,珍しく政治の場に顔を出したAsperger症候群の人物と想像される。
 通常Asperger症候群の人間は,その性格からして芸術や理工学分野に興味を多く示す。故人なので診断はできないがLeonardo da VinciやEdisonなど記録から見てAsperger的な言動をする天才・奇才が多数輩出している。歴史的な定理を証明した数学者はほとんどAspergerだと断言しても構わない。
 現時点でまだ高校生アイドルの倉持結香やMicrosoftの創業者Bill Gatesなどは,自らAspergerであることを公表している。映画監督のSteven SpielbergはAspergerとの診断を受けている。最近詐欺事件で有罪となった作曲家小室哲哉やアニメ作家・監督の宮崎駿などもきっとAspergerであろうと思われる。

 今の日本をめちゃめちゃにした霞ヶ関の官僚にはAspergerは少ない。あの東大入試型の第一種国家公務員試験に合格するには,趣味人のAspergerにとっては自分の興味が向かない分野の学習をしなくてはならないという苦行を強いられる。私は技術系であるが,現在の第一種試験の前身の国家公務員試験上級職甲に合格しているので,その苦行の意味はよく理解しているつもりだ。

 政治家は,本来党内や選挙民の心情を察しないとやっていけない立場なので,Aspergerな人には向いていない。しかし,満州国建国の立役者石原莞爾はその行動記録を見るかぎり,Aspergerと解釈できる。
 石原莞爾は日本を昭和の滅亡に導いた陸軍官僚の東条英機等にその座から引きずり下ろされてしまい,日本は以後確たる方針を持たない軍人官僚の思うがままに引きずり回され,舵取りを失ったまま死出の旅に彷徨い出た

 ところで,現在は民主党の小澤一郎がその言動から見てAspergerであろう。検察は,小澤が有罪ならほとんどすべての自民党の政治家は有罪になるという,道路に唾を吐いた程度の軽犯罪法違反のようなことで,小澤の秘書を逮捕した。検察以下諸官庁の官僚達は,小澤に自分たちの権益を侵されたくないために,今度のことを事件にしたのであろう。これは自民党というよりも役人の陰謀である。
 小澤は,そのような陰謀に乗っかった産経新聞や自民党の宣伝で選挙に脅えている民主党の連中にあきれたか,もういやになったと思われる。
彼や石原莞爾はあきらかにAspergerなので,権力自身には何も興味はない。ただ,日本の将来を考えて義務感から行動して来たと思う。

 日本はこれからどうすればよいのか,小澤が打出した“普通の国日本”という100年の計を越える国家の方針を出せる人材がいるのであろうか。たぶん反小澤の連中は,麻生以下の自民党政治家と同水準の小物でしかない。
 残念なことではあるが,日本は多分20年後には堺屋太一が小説『平成三十年』で予言した通りの,何もしてこなかった状況になっているであろう。
 その時は,英語ができる人が一等国民で,中国語が出来る人は二等国民,外国語がだめな人は三等国民となるかもしれない。まるで戦後すぐの状況みたいだが,明治維新でもそうだったように歴史は繰り返すのが宿命であろう。幸い私は20年後に生があるかどうか判らないが,もし生きていたら中国語が出来るので二等国民でいられるようだ。


2009年8月31日 日の丸の鉢巻

 今回の衆議院議員選挙では,自民党は保守的な伝統への回帰を強く打ち出した。この姿勢は“鬼畜英米”を声高に叫び,森元首相や武部元幹事長が望んでいる“神の国日本”の幻影にぶら下っていた,戦前の超右翼的な伝統への復帰である。したがって,戦後それまでずっと米国のポチや財布を勤めて来た自民党政権の戦略とは,本来相入れないはずである。
 選挙戦では自民党の候補者や事務所では,みな日の丸に必勝と書いた鉢巻を締め,日の丸ひいては国家への忠誠を誓う姿勢を表に打ち出した。演説個所や事務所に詰める支援者たちは全員日の丸の小旗を振っていた
 ところで,実際にかれらの言う日の丸の下の国家とは何であるのか?やはり,森や武部の考えているような,恐れ多くも天皇陛下を自分たちだけの神輿の上に担ぎ上げ,自分たちだけが甘い汁を吸えるような体制を指しているのだろうか?
 私には自民党候補者とその支持者たちが日の丸の旗を振る姿に何か“既視感”と軍靴の音の幻聴を覚えた。1925年代に始まる中国侵略からドンドンと袋小路に突き進む戦前の状況の再来を白黒映画で見ている感じがした。

 そのこと自体はよくないことではあるが,鹿児島県の民主党の選挙事務所で日の丸を継ぎはぎして党旗を作ったことを,保守回帰に夢中な麻生は選挙戦中いつまでも激しく非難していた。しかしこのことは私に,文化大革命の最中の中国で,毛澤東の顔写真が載っていた新聞紙で弁当箱を包んでいた労働者が,食事時にその新聞紙を尻の下に敷いたことで,投獄された事件を思い出させた。まったく現職の首相が口にするような言動ではない。2chに巣食っているNEETな右翼ガキ共が騒ぐ水準である
 もっとも右翼なNEETたちは自民党の政治によってNEET化したにも拘らず,民主党を攻撃することで宗教政党から定額給付金というおこぼれにあずかったのであるから,右翼的な言動を弄して騒ぐのは自民党へのお礼奉公なのかもしれない。しかし,彼等NEETや産経新聞や読売新聞とその系列TV局は,弱者切捨てを実行した自民党政権を支持しているなら,基本的に米国のポチと日の丸的な考えの間の矛盾をどうやって解決するのだろう。

 儒教や伝統的Christ教のような,古い時代に理想を求める固定的価値観は,国民を容易に愚民化できるので国家を統治する側には便利である。共産党が支配する大陸中国でも孔子を持ち上げ,儒教道徳を国民に押しつけることで,家父長的な現政治体制を堅固にしようとしている。国民を古い価値観で雁字搦めに縛り上げることで,為政者・役人や経済界などの成功者は優雅な生活をすることができることは,大陸中国だけでなく過去の例を見ればよく理解できる。
 日本は戦後,民主主義ということで,一部の人だけが無条件で優雅に暮せるな国ではなくなったはずであるが,小泉首相が打ち上げた自己責任という美名の下で,既存支配階級の固定化を図る手段として,自民党は保守の伝統への復帰を持ち出したのだろう。

 江戸時代に始まる儒教的な思想の影響下で,明治維新や敗戦を経ても,なお日本人の中に巣食っている“お上に従う”という固定観念は払拭し切れなかった。2ch的には“農家脳”とでも言う思想である。
 そのため国連からは,男女別姓化の実施など日本の女性差別の改善をしばしば求められている。しかし,自民党は女性国会議員でさえ,扇千景のような老いも高市早苗のような若きも,日本の良き伝統が壊される,と称して反対している。すなわち,日本人の心の土壌に“日の丸鉢巻で滅私奉公,女性は結婚して家の中で夫や姑に仕えて奴隷のように働け”という考えがいまだに濃く残っている。
 多くの有能な女性を家に閉じ込めて,パートや派遣のような単純労働を強いていて,人材不足で技術立国が難しくなっている日本を立て直すのは滑稽であろう。
 今後の日本の発展には,第二・第三の女性開放をして,有能な女性を仕事の最先端に取り込む必要がある。
  1.家族制度を前提とした民法や行政制度の変更
  2.男女別姓
  3.育児休暇と収入保証
  4.パートではなくてwork sharingの導入
  5.幼児・学童保育の充実
  6.介護労働からの開放
などの課題を丁寧に解決すれば。副次的効果として出生率も上がると思われる。これらは少なくとも日の丸の鉢巻で解決できることではない

 今回の選挙で,憲法改悪への法律的準備などという戦前復帰への戯言がしばらく実現できないことはとてもよいことである。この10年余り,右翼政党の自民党と宗教政党の公明党の野合は,日本に何も発展的な展開をもたらさなかった。宗教右派と大企業に軸足を置く米国の共和党政治と同じ結果を生んだ。
 中道左派の寄り集まりである民主党政権が,小澤一郎がいう“普通の国”を実現できるかどうかは,今後を待たなければならないが,少なくとも靖国参拝や女性差別肯定など,復古的な政治思想を声高に撒き散らすことのないよう期待したい。

2009年9月14日 改定

2009年9月30日 追加

 鳩山首相は民主党内閣の初の法務大臣と少子化対策男女共同参画担当大臣の二人に,それぞれ弁護士である千葉景子と福島みずほ(社民党)を選んだ。福島は自ら事実婚を実践するなど選択的夫婦別姓の実現を必要としている弁護士である。今日,千葉法務大臣はすでに1996年に政府の法制審議会が出した選択的夫婦別姓を含む民法改正を次の通常国会で成立させる意向を示した。
 別姓への強固な反対派である扇千景(本名林寛子)のように宝塚時代の芸名で通すことができ,歌舞伎の坂田藤十郎(結婚時は中村扇雀)と虚飾の世界に生きる女は,世の中の多くの働く女性の苦境をぜんぜん理解していない。「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない。」という感覚で日本人をバカにしている
 高々100年(1998年)の歴史しかない夫婦同姓の制度
は,それまでの1876年の太政官指令で決められていた夫婦別氏の原則を,課税強化と徴兵制の徹底のために作った家族制度に従わせるために変更したものである。

 この夫婦別姓は,自民党の右派やフジTV・産経新聞およびその同調マスコミが(せいぜい100年しか続いていない)日本の美しき伝統を壊すと称して激しく反対している。すでに国連からは何回も導入を要請されていて,先進国で導入されていないのは日本だけであるという事実に,右翼マスコミや戦前体制を目論む政治家は耳目を蓋しているだけなのだ。
 反対派は夫婦同姓を強制している国は世界の常識から遅れている特別な怪しい国として,国際的には見なされていることを理解していない。民法が変わったからと言って,明日からすべての既婚の夫婦や新婚の夫婦が必ず別姓になるわけではないということに目を瞑って,気違いじみた攻撃をしているフジTV・産経新聞は,日本を国際社会から孤立させてることを心から望んでいると判断できる。


2009年10月3日 負の遺産からの回避

 今朝未明Danmarkの首都Københavnで行われたIOC総会で,大方の予想通り2016年のOlympicは南米Rio de Janeiroに決定した。これで超右翼主義者石原慎太郎が画策した自身への人気取り政策の内,新銀行東京とOlympic招致の二つが画餅に帰した
 石原の都政は一見top downの政治主導のように見えるが,実態は民意と実情ををまったく無視した,私利私欲と自己の右翼思想の押しつけにすぎない。石原慎太郎は弟の故裕次郎の人気にあやかって,かつて裕次郎のfanだった高齢化オバハン族と中小商工業者の支持で都知事に当選したのだ。これらの都民はとても騙されやすかった。
 かつて1993年,やっかい老人の鈴木俊一都知事は,自分のミエだけのために東京で世界都市博覧会の開催を目論んだ。今回の石原の思惑とまったく同じであった。次の都知事選で青島幸男は都市博中止を訴えて当選し,東京都民は無駄な催しに反対の意思表示をしたのだった。今回もOlympicの開催に立候補した世界の都市の中で東京はOlympic開催に対する住民の支持率は飛び抜けて低かった。都民はすでに醒めていたのだ。

 もし東京でOlympicを行うことになっていたとしても,そのときには石原は高齢でたぶんすでに都知事ではないと思われる。もし都知事多選に出馬しても,落選の憂き目を見る可能性は大である。すると,負の遺産を相続させられる後継者にとってはたいへん迷惑なことであろう。今回はそれが回避できたことを大いに喜ぶべきであろう。鳩山総理にはこの忙しい時期にまったく無意味な外遊をさせられてご苦労なことである。Olympic誘致に国民や都民の多額の税金を石原個人の名誉のために無駄遣いした責任は誰が取るのであろうか?
 また確実に言えることは,東京でOlympicが開催されると東京は中国の国威発揚の場と化すのは間違いない。現在日本に在住する中国人は,漸減しつつある永住権を持つ半島人を逆転し,2008年末で約66万人いる。しかもそのほとんどが東京を中心とする大都市圏に住んでいる。一方中国では,共産党員は国民の10%と言われていて支配層を形成している。日本でもその比率が一定とすると,7万人近くの中国共産党員が日本国内で中国の国威発揚に積極的に活動するのである。
 北京Olympicの際の日本国内での聖火relayで中国共産党の指示によって中国国旗を振り回す中国人が暴れ回ったことを,忘れやすい日本人はどう思っているのであろうか?中国人暴徒の侵入を防ぐために長野の善光寺は聖火の到着すらを拒否したではないか?
 中国共産党を嫌い抜いている石原慎太郎が,なぜ明白に中国のためにしかならないOlympic開催を考えついたか,理解に苦しむ。推察するに,多分国際政治音痴の石原はOlympicを自分の名誉と自分の倅の石原伸晃を都知事後継者にするための土産にしたかったのであろう。

 Olympicを開催すれば4,000億円もの無駄遣いになり,さらに会場跡地が負の遺産になるところを,招致に都民の税金100億円無駄遣い(注1)しただけで済んだのは非常に結構なことである。しかし新銀行東京となると,都の出資金一千億円および追加出資400億円は,石原与党に組する倒産企業や暴力団関連企業の懐に露と消えてしまった。しかしこれとてもお金だけで済んだだけましであろう。
 じつは石原が残す最大の負の遺産は,都政の保守化である。就中教育界の超保守化は,次世代の日本を担う若者の超保守化を招いてしまった。超国家主義観満載の扶桑社の教科書で歴史を学ぶ可哀想な都立中高一貫校の生徒は,中国で中国的歴史観を学んで育った連中と同じように,物事を相対的に考える能力が育たないため,自分で新しいことを考えることができず,人の足をさらって稼ぐだけのバカな大人になるであろう。すなわち,この拭えない負の遺産は,石原が忌み嫌っている中国人と同じtypeの人間を大量生産することなのだ。
 Olympicと言い,教育と言い,石原の残す負の遺産はこのように大きい。実際,都知事の2期目に出馬しないで逃げ出した青島幸男は,内閣を放り投げてそれ以後の森−小泉の超右翼政治を引き出してしまった細川護熙と同じであり,日本や都民を現在の救いようがない状態に導く原因を作った真犯人である。今後都民がまたまた騙されて,石原伸晃に知事を世襲させるようだと,東京も日本と同じように終わりになってしまうであろう。

2009年11月11日 追加
 このところ石原は税金100億円を含む150億円ともいわれる招致活動費用の清算を済まさないで,またまたOlympic招致の再挑戦などという寝言をほざいている。たぶん凋落した自民党の国会議員をやっている石原伸晃を都知事にしたいがための画策であろうが,“浅ましいのー。”としか言いようがない。

注1: 2009年10月22日追加
 オリンピック招致のIOC総会に出席する日本代表団に,会議の日一日だけ着用するお揃いの服を一着30万円で製糸から特注し,石原以下渡欧する50人に無償で支給された。なお,IOC総会の壇上でpresentationに参加したのは10人であった。
 これを無駄遣いというか大盤振る舞いというか,NEETの四男を都税を使ってfiest classで外遊させた石原の特権意識が,そうさせたのであろう。


2009年11月11日 後部硝子体剥離

 俗に“目・歯・摩羅(マラ)”と言う。これは男性が歳とともに感じる身体の衰えである。私も摩羅はとっくにお休みであるが,歯はまだ28本健在である。8020運動(注1)の成功見本になるかもしれない。
 私の目は近眼であることを除けばあまり問題なく過してきたが,ここ数年来白内障が進行して,パソコンのdispalyで小さな字を見るのが辛くなった。もう,大分前から,乱視を矯正した眼鏡をかけていても,満月が丸いのを見たことがない。これは水晶体の中央部に白濁が生じてしまったので,その周辺で満月を見ると,光線が別れて一点に集まらずに二つあるいは三つに見えるからである。

 白内障は80代になると100%に人がなっていると言われている目の老化現象である。ただ,ほとんどの人は水晶体の周辺部から白濁が進行するので,視野の周辺が白くボケる以外はなかなか気にならない。
 ということで2008年の8月に眼科に行ったのだが,その直後に胆嚢炎の発作を起してしまい,白内障の手術を受けることが出来なかった。春になると前期の講義が始まり,病院の手術日と授業日の関係から夏休みまで手術は延期になってしまった。一年遅れで夏の終わりにやっと手術をして右目は義眼を入れた。最近の眼内lensは紫外線防止機能があるそうで,世間がわずかに黄色みを帯びて見える。白内障で白く見えていた反動も加わって一層感じたのかもしれない。

 ところが手術から約2ヶ月経った10月の中旬に手術をした右目に突然飛蚊症が起きた。飛蚊症自体はそれまでにもあったが,2,3日で糸屑様のものは見えなくなっていた。たまたま術後の定期検診日がすぐに来たので,医者に飛蚊症の話をすると,後部硝子体剥離という老化現象に伴って起きる現象だ,という説明があった。妙に納得して帰宅したが,数日して暗いところで目の耳側の上に時々光が見える。これは厄介だ,internetで調べると15〜20%の確率で網膜剥離を起すそうだ。早速医者へ行った。“光視ですね,これが出ると危険ですよ。”と医者は言う。
 さらに,目一杯に細かい泡のようなものが見えた。これは網膜の毛細血管が切れて血が飛び散ったのが見えるのだ。網膜に孔が開いたかな,網膜剥離一歩手前じゃないか。瞳孔を開く薬を点眼して40分待ちで網膜を検査してもらったが,幸い網膜はまだ孔が開いたり浮いたりしていなかった。ヤレヤレである。

 後部硝子体剥離は眼球の硝子体の中の物質(注2)が減ってきて,硝子体が網膜から剥がれる現象だそうである。通常は剥がれた隙間に水が入って視力には異常は起きない。ところが網膜が薄い近眼の人や,硝子体が網膜にしっかりと密着している人は,剥がれるときに網膜も引っ張ってしまい,網膜に孔が空いてしまうのだそうだ。光視は剥がれるときに視神経を引っ張るために刺激が出て稲妻状の光を感じるという。
 さらにinternetで調べたところ,白内障手術は後部硝子体剥離を加速させることがあるそうである。また,網膜裂孔後の網膜剥離の進行はとても速く,飛蚊の増加や光視を感じたらすぐに眼科に行かないと手遅れになるそうである。
 治療ではlasarで裂孔の回りの網膜を固定することにより,それ以上の剥離の進行を止める。これは緑内障の治療と同じである。

 とにかく,養豚家の右目は現状は小康状態で,光視も減って来ているので,当面剥がれる位置にいた硝子体は剥がれてしまったのかもしれない。人間歳を取ると,若い頃は思いもしなかった病気にかかってしまう。昨日10日に文化勲章を受賞した森繁久弥さんが亡くなった。最後まで気はしっかりしていたそうであるが,足には来てしまって移動は車椅子だったそうである。

 ところであまり関係ないが,企業も国家も同じ体制でずーっとやっていると老化現象が起きるのは,歴史が証明している。企業では同一業務が続けられるのは30年という定説がある。国家は頑張ってもその倍程度で賞味期限が来るんじゃないかと思う。自民党支配の55体制は長すぎた。本来1985年ごろから始まったbubbleのときに政治体制を抜本的に変革しておかなくてはならなかったのだ。
 米国発の世界恐慌への対策でも,借金まみれの政治をやって来た日本は,なんら有効な手段を取る余地がもう残されていない

 中国は1949年の共産党独裁体制が70年代の改革開放政策で寿命を伸ばした。経済的には成功を納めたみたいに見えるが,今後の動向は安価な労働力に頼った明治政府の富国強兵策後とほとんど変わらなくなると思われる。
 今年,共産党政権は樹立60周年を迎えたが,これから内政の問題が続発する情況を,他国への安値輸出で押え込むには人口が多過ぎる。地球は中国一国だけをいつまでも儲けさせておくほど余裕はないと思うが,どうであろう。

注1:
 8020(はちまるにいまる)運動は,80歳で自分の歯が20本あるようにといういう歯の健康を保つ運動で,日本歯科医師会や厚生労働省が推進している。
注2:
 硝子体の中の物質はCollagen線維とhyaluronan(ヒアルロン酸)からなるgel(ゲル)状のものである。蒟蒻と同じように99%は水である。


2009年11月30日 沖縄の対中軍事価値

 沖縄の米軍基地の件で民主党が揺れている。自民党政権が米国にちゃんと物言いをしてこなかったツケが回ってきたのであるが,ここで沖縄の基地の必要性を別の観点からちゃんと考えないといけない。
 すなわち従来の日本の考えは,自民党政権下で防衛大臣をやっていた超右翼政治家の石破茂などに代表されている。すなわち,日本の対中防衛問題をさっぱり理解しないで,単なる米国隷属を声高に主張している。

 今,日本にとって軍事的にいちばん危険な国は半島北部の破産国家ではなく,昔からの日本固有の領土である尖閣諸島に言いがかりを付けて手中に納めようしている共産党が支配する国家中国である。
 中国は二千年以上前から対外膨張することで国を形成してきた。共産党は明・清王朝と何等変ることがない帝国主義国家であることを,日本人は理解していない。毛澤東以来の中国の対外的な考えはMarks流の共産主義ではなく,連綿と続いてきた中国の侵略思想の形を変えただけに過ぎない
 日本では表向きは中国の関心事は尖閣諸島付近に眠る天然gas田だと思いこまされている。外務省や自民党の政治家も中国との共同開発などという甘い認識で対処してきた。しかし,中国が確実に狙っているのは,この島々に中国の軍隊を送りこんで実効支配することである。
 それは天然gas田が主目的ではない。中国は尖閣諸島に海軍が立ち寄る基地を置き,次にAsia太平洋地域での海洋覇権を手中に納め,中国が盛んに主張している日本固有の領土である沖の鳥島付近に日本が持つ,排他的経済水域の権利を根刮ぎ奪い取ろうという膨張主義の表れでしかない。

 日本の外務省だけでなく防衛省の武官もこの問題をもっと理解し,中国は西蔵を最後にもう周辺に新たに侵略する土地はないから大丈夫だろうという根拠がない安心感に浸っていてはいけない。これは平和とか友好とかいう以前の,膨張主義国家中国に対する警戒心が必要なのである。

 沖縄に米軍が駐留していることは,ちょっとだけ中国にこの対日侵略の危険を犯すことを躊躇させるであろう。しかし,米軍は基本的には日本の領土を守ることはない。中国や半島北部の国からmissileが直接飛来すれば対応するかもしれないが,中国軍が尖閣諸島に上陸占拠したくらいでは,米国民の命をかける値打ちはないという判断が下されるだろう。民主党の小澤幹事長が言うように米国とはそういう国である(注)。ポチが希望していることを忖度するような飼い主ではないのだ。
 すなわち,尖閣諸島を中国の侵略から守ることは,日本の自衛隊が自ら行うしか方法はないのである。呑気な平和主義者や社民党もこのことをよく理解していないと,そのうち日本全土が日中戦争の報復という名目で中国人民解放軍(何を解放するか知らないけど?)の軍靴に踏みにじられてしまう。
 沖縄の基地は半分以上を米国から返還してもらい,日本一強力な自衛隊の部隊を配備し,尖閣諸島を突破口とする中国の軍事侵略に備えないとならないと思う。なぜなら,尖閣諸島に一大軍事基地を展開できるほどこの島は大きくはないからである。
 連日の索敵掃海活動や中国軍の上陸に備えた常備兵の配置などを尖閣諸島に展開するには,後方基地および航空機の基地として沖縄はたいへん重要な位置にある

 沖縄の人々には気の毒であるが,基地周辺の住宅地や商業地を創価学会に阿るために無意味な定額給付金に使った予算や土建業者を太らせるだけのダム予算で国家が買い取るのがいちばんの良策であろう。日本の人口はだんだんと減少しつつある,基地周辺も限界集落と同じ扱いをするのはどうであろうか?
 それとも沖縄をGuamのように米国の準州にするのはどうであろうか。米国の一部なら,米国民の命や米国の国土が侵略されたということで,中国軍の侵入に対処する名目が立つ。
 橋下大阪府知事もいつもは反動的な発言しかしないが,今日関空を米軍基地に提供するというideaを出した。まことに結構なplanである。お荷物関空の国費による処分方法としてはまったく申し分ない。

注:2009年3月3日 ネットゲリラ:第七艦隊だけあればいい


2009年版完