Dr. YIKAI の言いたい放題「技術教育」

2008年版 Copy Right 2008 Dr.YIKAI Kunio

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2008年12月28日 Off shore開発

2008年12月28日 Off shore開発

 今年は一度も「技術l教育」の言いたい放題を書かずにいたら,もう年末になってしまった。
 その間,何もしていなかったわけではない。老齢には珍しく仕事の話が立込んでしまい,言いたいことを綴っている暇がなかっただけで,“腹ふくるるわざ”であることは間違いない

 その間に隣に住む無教養なババア・その長女・さらにその倅がしょっちゅうちょっかいを出してきて,やはりまともな教育の必要性を実感させられた。なぜか彼等は平成のこの世でも,全員が中卒の学歴しかない。旧制女学校あるいは夜間高校へ進学はしたものの,それぞれ適当な理由で中退し,学歴的には高等小学校や中卒のままなのである。そのような一族の亡き次女と結婚してしまった私が悪いのであるが,本当に氏より育ちである。
 私の母親が相手の家の学歴が低いと言って結婚に反対した気持ちはよく理解できる。

 先日も三人は私に,国立の電機大(そんな大学は存在しないのに正確に言えないところが,無教養丸出しである)卒の私が彼等の家の防犯systemを自由にすり抜けて,勝手に自分の家に立ち入り,掛けぶとんを盗んだ,と難癖を付けた。三人とも学歴complex丸出しで,声を揃えて人様の前で私を罵り続けたものである。いくら私の年金が少なくても,1万円で何枚も買える布団を,わざわざババアの汚いもので間に合わせるはずはないと思うのが常識であろう。
 また,すり抜けられるような防犯systemに金を払っているのだから,そちらに文句を言えばよいのである。

 完全な名誉毀損であるが,元の姻族なので敢えて訴えることはして来ていない。でも,どう考えても彼等の妄想状況は統合失調症の傾向があるとしか考えられない。
 “そんなに言うなら,警察に届ければ,私が盗んだかどうか調べてくれるよ。”と言うと,“警察は何もしてくれない。”と言い出した。警察は一度だけ来たが,そりゃ指紋や足跡は何も出ないし,窓や鍵は引っかいた痕もないのだから,警察は“最近認知症の方が多くて・・・。”とこぼして二度と来てくれなくなったのだ。

 前置きはさておいて,言いたいことはやはり教育である。私は,今年の夏前からとある開発の手伝いをしている。System構成は客先の担当部長と私で考えて,実際の作業は日本人と中国人半々で行っている。
 この中国人たちは一人を除いて中国で大学や大学院まで教育を受けている。しかもかれらを管理している人材派遣会社に言わせると,中国のかなり有名な大学を一人は4年間状元(註1)で卒業し,もう一人は大学院を状元で卒業したという。たしかに記憶力はとてもよい。しかし,考えることに関してはイマイチである。

 たとえば,hardwareの動作試験をしているときに,ある液晶は表示が出なかったのに,別の液晶にしたら上手く出た。すると,彼等は表示が出なかった液晶が不良品だと言出した。
 中国国内ではないので日本製の部品が不良ということはあまりあり得ないので,私は原因を見付けるべくtest programを書いて動かすように頼んだ。しかし,今度はprogramが動かないという。次は回路基板の不良のせいになってしまった。
 実際に調べて行くとどうもclock信号の供給が甘いらしく,液晶を動かす信号が出たり出なかったり,というようだ。そこへ製造を担当している会社の技術者が帰って来て“Clock信号が甘いのを発見したけど,すでに手直しした基板はまだ一枚しかない。”と言ったので,事情が分かった。
 いままで付き合った多くの中国人技術者は,個々人は優秀であるにもかかわらず,このように論理的に判断をしないですぐに善悪の結論を情緒的に出す傾向がある。別に技術に限らず,すべての物事に対してこのような態度である。すなわち中国人的思考法とでも言える。これは多分長い間に培われた中国式の学習方法(科挙の受験のために儒教経典を丸暗記する学習法)が影響していると思われる。

 この半年余りの苦労の連続から考えると,普通に人件費が安いからというだけで,開発の仕事を中国でoff shore開発をして,まともに仕事を上げようと思ったら,開発管理にかかるover headが馬鹿にならない額になるし,丸投げなら飛んでもない製品が開発されてしまい,誰も責任を取らないということになる。

 今年の結論としては,中国の教育方式が儒教やそれに替るdogmaの暗記に徹しているうちは,われわれは彼等の技術力は怖くないということである。すなわちお手本を丸暗記するするだけであるから,新時代を画すような製品の開発はなかなかできそうにない。
 ただ,日本においても中国式の愚民化政策を採ろうしている政治家が多く,実際に部分的に成功を納めていて,どんどん日本人技術者が中国人技術者に近づいていると感じるのは私だけであろうか。

註1:「状元」とは清朝まで続いた科挙の試験の最終段階の殿試で,最上位の成績を取った者を呼ぶ名称。ちなみに第二位は「榜眼」,第三位は「探花」と呼んだ。以来試験で一位のものを「状元」と呼ぶ習慣ができた。なお,私も国家公務員試験で状元を取ったことがある。


2008年版完