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3.2 直流で回せるモータ


 実用的な動力が取り出せる整流子モータは,1837年に発明されました。 ダイナモDynamo(直流発電機)も同時期に発明されましたが,当時まだ送電網が出来ていなかったので,実用的な電力源は電池しかなく,モータの利用はすぐには商業的に成り立ちませんでした。


3.2節の内容

3.1節 動く家電機器とモータ 3.3節 電子回路で回す直流モータ

Q3.5 電池で動くモータ   Q3.6 整流子モータの構造
Q3.7 整流子モータを回るようにする Q3.8 電磁石の反応は遅れる
Q3.9 永久磁石を使わない整流子モータ Q3.10 直巻整流子モータ
Q3.11 整流子モータの逆回転 Q3.12 交流でも回る整流子モータ
Q3.13 直巻整流子モータの始動



Q 3.5 電池で動くモータ
 電池で動く機器のモータには,表3.1のどのモータを使っているですか。

[A]
 モータを使った機器の中には,充電型を含めて電池で動くものがいくつかあります。 電池でモータを回す機器は,次のような理由であえてコンセントからの電源を使っていないのです。
  (a) 短時間しか使わないので,電源プラグの抜き差しがめんどう
  (b) 電源が取れないところで使いたい
  (c) 移動するので作業中に電源ケーブルがじゃま
  (d) 身体に触れるので,感電が恐い

表 3.2
電池を使う機器

 表 3.2のモータの用途は,基本的に整流子モータの守備範囲です。 構造はQ3.6で説明しますが,整流子モータには整流子に電気を供給するブラシBrushが必要で,このブラシが消耗品だということが整流子モータの最大の欠点です。
 整流子モータのブラシを交換しなくてもよいように,一部のものにはブラシの替りに電子回路で動かすブラシレスBrushlessモータが使われています。 乾電池で動かすものもありますが,基本的には充電式の二次電池を使っています。
 おもちゃの模型列車には,プラレール(商標名)など電池で動くものの外に,金属レールから外部の電気を受け取る方式のものがあります。 さらに大きなモータとしては,電気機関車や電車には,19世紀以来電子制御になるまでの長い間,直流の整流子モータが使われてきました。

*   *   *
★ 自動車用モータ

 自動車用のモータは,HV(Hybrid Vehicleハイブリッド ビークル)車が初めて発売されたときは整流子モータを使っていました。 駆動用以外に使われている車のモータには,今でも安価堅牢な整流子モータが多く使われています。

Q 3.6 整流子モータの構造
 学校の理科の実験でモータを作ったことがありますが,あれは整流子モータですか。 そのときモータが回るりくつも教えてもらったと思いますが。

[A]
 実験したモータを電子回路なしで電池で直接回したのだとしたら,間違いなく整流子モータです。 整流子モータは,外部の永久磁石などでつくられた一定した磁場の中に,回転できるコイルでできた電磁石を置き,この回転電磁石が外部磁場によって向きを変えられる力を回転力として外部に取り出します。 もちろん,外部磁場に電磁石を使うこともできます。
 整流子モータは,図3.3(b)のようにステータの界磁磁石のN,S極が入れ替わってロータを回すのではなく,図 3.7のようにロータ側の磁石のN,S極を入れ替えて回すようになっています。 図 3.7のa〜d の順に電磁石のロータが回っていきます。

図 3.7
ロータの磁石 

(1) 最初の位置aではロータは界磁に引かれて,右に回転する力が加わる
(2) 位置bでロータ磁石のN,Sの極性が反転し,ロータは勢いでc に進む
(3) 位置cでもロータは界磁に引かれてさらに右回転する
(4) bと対称な位置dになると,再度ロータ磁石のN,Sが反転し,位置aへ進む

 ロータの磁石のN,Sの向きを入れ替えるには,ロータの磁石に電磁石を採用することで,位置bと位置dのときに電流が逆向きに入れ替わるようにします。

図 3.8
整流子
電動工具用ブラシ
CH-2
藤原産業HPより
(日立工機38番相当)
 (a)整流子はロータと一体  (b)電流は整流子を介して電磁石へ

 このときに,ロータに流れる電流の向きを自動的に入れ替えるために考え出されたのが整流子です。 整流子はロータに固定された図 3.8(a)のような銅のリングRing(輪)です。このリングにカーボンCarbon(黒鉛:Graphiteグラファイト)製のブラシをばねで押しつけ,ロータに電気を供給します。
 整流子は二分割されていて,その間は絶縁されています。 分割の片方から電流が流れ込み,ロータの電磁石を励磁れいじMagnetic excitationマグネティク エキサイティング)し,整流子のもう片方に流れ出します。 ロータの回転に応じて図 3.8(b)のように,整流子に“正”→“断”→“逆”→“断”→(最初に戻る)の順に電流が流れて,電磁石の向きを自動的に入れ替えます。
 ブラシに金属を使わないのは,金属同士を密着させるのが難しく,さらに整流のたびに火花が出て高温になり,ブラシだと融けてしまうからです。 一方,黒鉛はこすると削れて非常に細かい粉になるので,整流子との接触の際に潤滑剤として働きます。 さらに,不要な黒鉛粉が整流子をショートさせても,多くの場合火花が出た際に燃えて二酸化炭素になるため,燃えかすがあまり悪影響をおよぼしません。

Q 3.7 整流子モータを回るようにする
 図3.8のようになっていると,整流子が“断”の状態て停止しているときには,電流を流してもモータは回らないのではないですか。

[A]

図 3.9
左右どちら
向きでも回る

 図 3.9のように断の位置でモータが停止していると,ロータにブラシから電流が供給されません。 さらに,この“断”の停止状態で,図3.9のように外部からモータのロータを左右いずれかに少し回してやると,その向きに回り出します。
 この問題を解決するためには,図 3.10(a)のようにロータをY字型の3極ロータにします。 するとロータの電磁石は直線状ではなく,120°折れ曲がった形になります。

図 3.10
3極ロータ 
   (a)Y字型ロータ              (b)整流子と回転

T  ブラシからの電流は,下側の整流子二つを経由して流れ,これにつながっているコイルaが電磁石になる。 巻線の向きが下側が磁石のS極になるようになっていると,ステータのN極に引かれて回り出す。
U  ちょうど整流子のつなぎ目で止まっていても,正のブラシから流れ込んだ電流は,右側の二つの整流子を流れて負のブラシから出ていく。 このときはコイルaとbが同時に電磁石になり,やはり右回転の力を起こす。
V  ブラシからの電流は上側の二つの整流子を経由して流れるので,その間にあるコイルbが電磁石になる。 巻線の方向がコイルaと同じだとすると,電流の向きが逆になるのでコイルbはN極になり,右側のステータのS極に引かれて回る。

 図 3.10(b)で,I,II,IIIのどの位置で止まっていても,ロータには必ず右回りのトルクが働きます。

Q 3.8 電磁石の反応は遅れる
 組立てキットの整流子モータを勢いよく回すと,整流子とブラシの間でときどき火花が飛ぶのですが,電池で回しているのでそれほど電圧が高くないはずなのになぜですか。

[A]
 電磁石は,電圧をかけるとすぐに磁石になるわけではありません。 電磁石のコイルに流れる電流は,電圧をかけた瞬間には図 3.11(b)のように0です。 コイルの電流は,時間が経つにつれてだんだんと増加して行き,最終的にはコイルにかけた電圧E をコイルの巻線抵抗R の値で割った電流値IE /R になります。

図 3.11
コイルの電流
 (a)コイルには抵抗とインダクタンスがある          (b)電流曲線

 この電流が増加する速度は,コイルの巻き数が多いほど遅くなります。 また鉄など強磁性体の芯に巻いてあると,さらに遅くなります。
 重たいトラックに似たこのような性質を,コイルのインダクタンスInductance(自己誘導)と呼び,コイルの電気的性質を表す用語として使います。 インダクタンスの単位はH(ヘンリーHenrry)で,コイルを流れている電流の変化が遅れる程度を表しています。 図3.11(b)中の時定数は,正確には1−e-1です。 なおe は自然対数の底(Napier'sネィピア constant)で,2.718281828459……と続く無理数です。
 今度はコイルにある程度の電流が流れている状態になった後で,急にスイッチを切るとどうなるでしょうか。 そうです,急には止まれないのです。 自動車の追突事故に似ています。

図 3.12
急には止まれない

 すでにQ1.31で説明しましたが,電流も同様に,いままで流れていた分が急には0になれないので,整流子がブラシと離れるともっと流れていたいと思う電流は,離れた隙間を飛び越えようとします。
 もちろん絶縁状態のところを越えるのですから,高い電圧が必要になります。 なお,ブラシは図3.10(b)のIIのように,二つともつねにどれかの整流子片につながっています。
 この切れたときに発生する高電圧は,切れたときの電流量とインダクタンスをかけた値になります。 ですから,たとえ乾電池で回していても,電流が切れるときには1,000V以上の電圧が発生して火花が出てしまうのです。

*   *   *
★ 整流子モータには消耗部品がある

 ブラシは黒鉛すなわち炭素(Carbonカーボン)で出来ています。 これは,高純度の黒鉛の粉末を型に入れて,高温高圧で瀬戸物などと同じように焼き固めたものです。
 この方法は,粉末冶金やきんと言われていて,原料の粉末は全体が融けることなくくっつきます。
 ブラシはQ3.6で説明したように,少しずつ削れて整流子との滑りをよくしますが,モータを長時間使っているとやがてなくなってしまいます。 家庭用のモータなら,電流も少なく使用頻度が低いので,ブラシを交換することは滅多にありませんが,電動工具など大きな電流が流れる機器では,定期的にブラシの交換が必要になります。 これが整流子モータの最大の欠点です。
 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(災害名は東日本大震災,“3.11大震災”と略記)では,整流子モータの消耗部品である整流子用ブラシを作る工場が被災し,供給がしばらく途絶えてしまいました。
 近年,整流子モータを使った電車や電気機関車が減っていたので,鉄道用の整流子ブラシをこの工場で集中生産していたのが,裏目に出ました。 JR西日本ではブラシの寿命を延ばすため,一時的に一部の線区で間引き運転を実施しました。

Q 3.9 永久磁石を使わない整流子モータ
 永久磁石の代りに電磁石を使うことはできますか。

[A]
 電車のモータのような100kW以上の出力が出せる大きなモータでは,使う永久磁石も当然大きくなります。 したがって,普通は費用の面からも,ステータの界磁を図 3.13(a)のように 電磁石を用います。
 界磁の永久磁石をそのまま電磁石と取り替え,図3.13(a)のようにステータとロータのそれぞれの電磁石の巻き線は,おのおの独立に電源に接続します。 このような接続を“分巻ぶんまき”(Shuntシャント)といい,界磁に永久磁石を用いた場合とほとんど同じような回転特性を示します。
 なお,“巻き”と送りがなをしないのは,モータ業界では以前は音読みで“ぶんけん”と呼んでいたころの名残です。

図 3.13
界磁を電磁石に
した分巻モータ
 (a)分巻モータの構造        (b)分巻モータの特性

 分巻の整流子モータは,もともとその回転速度を制限する原理的な要因はありません。 図 3.13(b)のように,モータへの供給電圧(端子電圧)で決まる回転数で回り,負荷の大きさの変動による回転数の変化は小さくなります。 なお,負荷が重くなると,ロータに流れる電流が増え,モータのトルク(回転力)が増えます。

Q 3.10 直巻整流子モータ
 掃除機は,ゴミの吸込み口が詰まると回りが悪くなりますが,このモータは電圧を変えているのですか。

[A]
 違います。 掃除機に使っているモータは,負荷が重くなると回転数が下がる性質を持ってい ます。

図 3.14
ステータおよびロー
タ巻き線の直列接続
 (a)直巻モータの構造        (b)直巻モータの特性

 ロータとステータの巻き線を図 3.14(a)のように,直列に接続して電源につなぐと,どうなるでしょう。 この接続は“直巻ちょくまき”(Seriesシリーズ )といい,図 3.14(b)のような回転特性を示します。
 分巻では,界磁に流れる電流は回転数に関係なく,基本的に一定です。 すなわち,永久磁石が電磁石に入れ替わっただけです。
 一方,直巻きではロータの巻き線に流れる電流が,そのままステータの巻き線に流れますから,始動時に界磁がいちばん強くトルクも大きくなります。 回転が上がるにしたがってロータに流れる電流が減るので,界磁は弱くなりトルクが減ります。 回転数はトルクが負荷と同じになったところで落ち着きます。
 モータへの印加電圧に対しては,回転数が負荷の重さで決まるため,単純な比例関係にはなりません。
 なお,分巻きと直巻きとを混ぜた“複巻ふくまき”というモータもあります。

★ 交流電化区間でも整流子モータを使用していた

 半導体で大電力を制御できるようになる前は,電車や電気機関車のモータにはほとんどすべて整流子モータが使われていました。
 それは,ブラシの摩耗交換という手間がかかっても,電気鉄道の低速時の高トルクと回転速度の制御の容易さという負荷特性が,整流子モータに適していたからです。 今でも地方の路線などに残る古い型の電車には,整流子モータが使われています。
 交流電化区間でも,当初はモータには整流子モータが使われていました。 新幹線では創業時の0系以降100系,200系,400系はすべて整流子モータで駆動し,200系では275km/hの営業運転を実現していました。 なお,これらの整流子モータ使用の新幹線車輌は,2013年までは数編成残っていました。
 在来線も,たとえば2013年に定期運用が終了した常磐線の特急“スーパーひたち”に使われた651系は,整流子モータを使用して130km/h(設計性能は160km/h)で営業運転していました。


Q 3.11 整流子モータの逆回転
 整流子モータを逆回転させるにはどうすればよいですか。

[A]
 掃除機などは逆に回す必要はありませんが,電車は逆転できないと困ります。ステータに永久磁石を使ったモータでは,図3.10(a)のY字型のロータを使うと,必ず一定方向に回り出します。

図 3.15
モータの逆回転 
 (a)永久磁石モータ       (b)電磁石モータ

 永久磁石のモータを逆回転させるには,図 3.15(a)のように電池の向きを変えて,ロータ電流を逆向きにすることで実現します。
 一方,電磁石で界磁を発生させるモータでは,分巻でも直巻でも印加電圧を逆にするだけでは,ロータとステータの電流の向きが同時に変わってしまうため,回転方向は変わりません。
 逆に回すためには,図 3.15(b)のように,ロータかステータのどちらかだけの配線を入れ換えなくてはなりません。
 回転の向きについては,図3.15(a)のようにモータ本体を回転軸の後ろに置いて,正面から見て時計(右)回りをCW(Clock Wiseクロック ワイズ ),反時計(左)回りをCCW(Counter Clock Wiseカウンタ クロック ワイズ)と呼びます。

Q 3.12 交流でも回る整流子モータ
 台所にあるフードプロセッサFood Processorの取り扱い説明書を読むと,“長期間使用したらブラシを交換しなければならない”と書いてありますが,整流子モータは交流でも回せるのですか。

[A]
 図3.14のような直巻整流子モータは,交流でも回ります。 なぜならステータに流れる電流は,ロータに流れる電流とつねに同じで,交流の向きが変っても電流の向きは一致しているので,電磁石がちゃんとN,S極間の吸引力を発揮して,交流でも直流でもモータを回すことができるのです。
 家庭では,髪の毛を乾かすドライヤDryerフードプロセッサFood Processorのような台所の回転調理器具,掃除機,電動工具など,強力な力を出して高速で回す必要があるものには,家庭用の交流電源で回していても,直流用のモータと同じ構造の整流子モータが使われています。
 整流子モータは,その大きさの割には大きな力が出せるので,自動車のエンジンの始動にも使われています。

*   *   *
★ 分巻型のモータは交流では回せない

 分巻型のモータは,ステータとロータに流れる電流の“位相ずれ”という現象が起きるので,交流では回せません。 なお,位相に関しては,理解がむつかしいので説明は割愛します。

Q 3.13 直巻整流子モータの始動
 フードプロセッサのスイッチを入れると,同じコンセントからつないでいるスポットライトの電灯が一瞬暗くなりますが,なぜですか。

[A]
 それは,フードプロセッサのモータが始動するときに大きな始動電流が流れ,分電盤からの配線内で電圧が低下して,明りが暗くなるのです。

図 3.16
直巻モータの始動 
 (a)始動時           (b)電流制限抵抗器

 始動時にはロータは止まっているので,図 3.16(a)のようにモータ電流は,ステータの巻線抵抗RSとロータの巻線の抵抗RRから,
    I MV M /(R SR R
とかなり大きめになります。
 モータが始動して回りはじめると,ロータに“逆起電力”という現象が起きて,流れる電流が小さくなり,電灯の明るさは元に戻ります。 モータに流れる電流は,印加電圧から逆起電力E Rを引いた電圧をもとに,
    I M=(V M−E R)/(R SR R
となります。
 じつは,直巻整流子モータと直巻直流発電機は,原理的にはまったく同じ構造をしています。 ですから,モータが回ると発電機を回したのと同じことが起きます。
  【モータの原理】 磁場があるところに電流が流れると,電流が流れている電線に力が発生する
  【発電機の原理】 磁場があるところで電線を動かすと,電線に電流が流れる
 この現象は独立して起きるのではなく,同時に起きます。 モータが回っている時の発電現象を“逆起電力”と呼んでいます。 ロータの回転が速くなるほど,逆起電力は大きくなります。
 モータに加えた電圧と発電した電圧との差が,モータの回転力に変換され,外部に動力として取り出せると考えます。 その動力は,
    P MI M×(V ME R
で,図3.14(b)のように直巻モータの回転数に反比例すると考えてよいでしょう。
 実際に,モータ始動時の大電流はいろいろと問題を起こしますので,小さなモータ以外では図 3.16(b)のように始動電流を小さくする制限抵抗器を取りつけて,過大な突入電流を防いでいます。
 電車のモータに直巻整流子モータが使われていたころは,床下に大きな抵抗器が付いていて,東京の山の手線のように駅間が短いところでは,夏に駅で電車を見送ると,動き出した電車の下から抵抗器が出す熱気が上がっていました。

*   *   *
★ 直巻モータの暴走

 もし,直巻モータの負荷がないか非常に軽いと,取り出すべき動力が小さくなるので,モータ電流も小さくなります。 それに伴って,ステータのコイルに流れる電流も減少します。
すると界磁が弱くなるので,同じ回転数では逆起電力が不足することになり,ロータはますます速く回ります。 また逆起電力は印加電圧に近づき,負荷がなければモータ自身の回転損失(軸受けや風切り)と釣り合うまで回転速度が上がってしまいます。 モータが暴走をしたのです。
 暴走時に,小型のモータでは,多分キーンという回転音がするだけですが,大きなモータでは,遠心力でロータが破損することもあります。

★ 発電ブレーキ

 大型の直巻直流モータは負荷が大きいと,すぐには止まれません。 そこで,普通は別途ブレーキBreakを用意して止めることになりますが,直巻直流モータがそのまま発電機になる性質を利用して,ロータとステータの接続を逆向きに入れ替え,ロータの逆起電力で流れ出す電流を始動用の抵抗器に流すという図 3.17のような制動方法があります。

図 3.17
発電ブレーキ

 これを発電ブレーキと呼んでいます。 電車では,この発電した電気を架線に戻したり,車上の蓄電池に蓄えて照明や空調に利用することもあり,それを回生ブレーキといいます。
 HV車も回生ブレーキで回収したエネルギーを加速時に使うことで燃費の向上を図っています。




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