Dr. YIKAIの言いたい放題「日本の世相と中国関係」

2013年版 Copy Right 2013 Dr.YIKAI Kunio

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2013年2月1日 イジメと体罰
2013年2月15日 ガラパゴス国家
2013年6月7日 サンマ技術者
2013年9月5日 旧民法の亡霊
2013年9月23日 他人の褌
2013年11月17日 ネトウヨ市議

2013年2月1日 イジメと体罰

 昨年以来世の中を騒がせてきた,滋賀県大津市立皇子山中学校で起きた当時中学2年だった男子生徒が,イジメによる自殺の練習までさせられて自殺した問題で,調査を進めてきた市が設置した第三者委員会が1月31日に最終報告書を提出した。それらの経緯真偽取り混ぜての情報はnet上のまとめを参照するとだいたい掴める(注1)。すなわち,加害生徒の母親がPTA会長だったために,生徒は増長し,学校側はイジメ・窃盗などの犯罪を見過してしまい,自殺を防ぐことが出来なかった,とも言える。
 また加害生徒の一人は宇治市へ密かに転校し,そこでも暴力事件を起している。すでにこの生徒はヤクザになってしまっているのだ。

 これに並行して,ここのところ大きく報じられている大阪市立桜宮高校や同汎愛高校を初めとする体罰事件は,加害者である教員や監督・コーチが成人であるために実名報道されている。しかし,シゴキ(体罰)をした犯人たちはほとんど反省の気配が見られない。みんなと同じことをしていたのに,どうしてオレだけが犯罪者扱いになるのか,といった顔をしている。
 しかも,学校や教育委員会だけでなく全日本柔道連盟までもが“大した事じゃない”という素振りで,事件のもみ消しを図っている。女子柔道強化選手に対する暴力行為とパワーハラスメントを,強化選手15人からJOCに告発された柔道女子日本代表の園田隆二監督に対しても,全柔連は戒告という大甘処分でお茶を濁そうとした。その後,IJF(国際柔道連盟)まで非難声明を出すに至って,形勢不利を悟った園田は本日自ら監督を降りた。
 特に悪質なのは,親告罪である準強姦罪で本日東京地裁で懲役5年の実刑判決が下った,九州看護福祉大(熊本県玉名市)元コーチのアテネ・北京両五輪の柔道男子66キロ級金メダリストの内柴正人(34)で,公判では一貫して“(性行為は)合意の上だった”と無罪を主張していた。裁判長が判決文朗読で“明らかなうそ,虚言をろうして”と厳しい言葉で糾弾すると,内芝は腕組みをして不満を顕にした。
 強姦被害者の“私は,大好きな柔道も学生の身分も友人も恋人も失ってしまった。”という検察尋問への発言に対し,内芝は“合意の上”だと蛙の面にション便である。
 すなわち,内柴は未成年の女子部員を次から次へと姦ってしまうのは,コーチの特権だと勘違いしているのだ。今日の一審判決を受けて,全日本柔道連盟はようやく内柴を柔道界からの永久追放処分に乗り出すことにした。

内柴正人被告:教え子乱暴直後に別の部員とも性的関係 (スポニチ)2012年11月3日

 指導していた大学の女子柔道部員を合宿先のホテルで乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われたア テネ、北京両五輪の柔道金メダリスト内柴正人被告(34)の第2 回公判が2日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)で開かれた。10月に非公開で行われていた証人尋問の要旨が読み上げられ、事件のあとに被告が別の女子部員の部屋を訪れ、性的関係を持っていたことが明らかになった。

 要旨によると、内柴被告と関係を持った別の女子部員は、事件当日の昨年9月20日未明、部が宿舎にしていた東京都八王子市のホテルの自室で就寝していたところ、ノックの音で目が覚めた。
 ドアを開けると内柴被告がおり、被告は入室。「先生と教え子の関係なので、性的な関係になる心配は特にせず自分が先に寝た」と供述した。
 その後、「被告に性器を挿入されていることに伴う下半身の違和感」で目を覚ました。女子部員の顔には シーツのような布がかぶせられていた。驚いたが「抵抗したり嫌がったりしたら、今までのように指導してもらえないのでは」との気持ちから強く拒むことな く、そのまま被告と性行為を続けた。

 乱暴されたとされる部員の話は翌日朝、別の部員から聞いて知り、「自分以外にも(性行為が)あったのかな」と思ったという。被告側の弁護人によると、被告とこの女子部員の性行為は、乱暴されたとされる部員との行為より後だった。
 その後、両親の勧めで被害届を出したが、「取り調べでいろいろ聞かれ、話すのも嫌だったし、普通の生活を送りたい」との理由で今年1月に取り下げた。その際、両親は取り下げに反対していたという。
 非公開の証人尋問は10月2〜5日、被告も立ち会いの上、熊本地裁で行われた。被告はこの日、発言機会がなく、時折ふんぞり返り、にらむような視線を見せることもあった。

 これらの事件は,表向きは加害者個人が常軌を逸脱していることになっていて,さらにそれを管理・監督する組織の怠慢ぶりを糾弾されているが,実際は日本においても権力を得たものは何をしてもよく,不具合があればもみ消してなかったことにしようという,まるで大陸中国や北朝鮮とそっくりな風潮の反映でしかない。
 今回日本で起きた諸事件は,たまたま時期が重なったのではなく,これが民主主義を失った現実の日本社会そのものであることを知るべきである。

 たとえば,日本の政治に対してまだ何も行動していない小澤一郎に対する検察とマスゴミの執拗な謂れなき攻撃と人格破壊の宣伝は,相手を抵抗できない\状態に置いておいて,自殺練習をさせたり,指導という名の体罰を課したり,酒に酔わせて次々と強姦したりする行為と,まったく同じ次元である。検事調書の捏造のようなバレてしまった身内の失敗は,起訴猶予処分という大甘処分で過そうとしているのもそっくりである。さらにTBSに至っては,小澤一郎への架空の賄賂の受渡場面を再現して放送するという大誤報をしたが,だれも処分されていないし,謝罪もしていない。
 小澤一郎は男であるので流石に直接は強姦されていないが,その連れ合いが書いたという怪文書をマスゴミが自ら流すに至っては,準強姦罪でなくして何であろう。既得権者たちは使える道具をすべて使って,小澤一郎に対して大津の中学生や大阪市の高校教師あるいは内柴・園田のようなイジメ・体罰や強姦をしているのだ。
 だが実際は小澤一郎は自殺なぞしないだろう。かれはただ日本に呆れて引退してしまえば終わりである。かつて東条英機率いる陸軍既得権者たちの策謀により満州国から逐われた石原莞爾のように,老後は評論でも書いて悠々自適の生活を送ればよい。国を挙げてのイジメや体罰の被害者は自民党や維新などの極右政党に投票した国民自身なのである。

 じつはこれを日本の外部から見ると,日本という国は言論の自由はなく,既得権者はどのようなことをしても許されるという風に見える。事実,“国境なき記者団”による2013年の日本の言論の自由度の評価は,世界179ヶ国・地域中53位で47位の台湾や50位の韓国以下である。もちろん大陸中国は173位で,その後ろにはIran,Syria,北朝鮮並みの最悪国家しか残っていない。

 ところで,人民解放軍よりもたくさんの予算を使っている中国の国内向け警備体制(武装警察・城管注2)を担う連中が,共産党既得権者の意向に沿って自国民に対して好き勝手し,言論封鎖をしているのと日本の既得権者たちの手先である検察特捜部やマスゴミの悪乗りはそっくりである。
 虐げられた中国の大衆は,過去20年に及ぶ江澤民派の巧妙な宣伝に乗せられて,真の敵(共産党既得権層)ではない日本を憎むように教育され信じ込まされている。これも小澤一郎イジメに加担して,若い学生を殺したり貶めている日本の国民の姿とそっくりである。
 中国の一般大衆は中国共産党の腐敗した既得権層のイジメに遭い,体罰を受け,さらに強姦されても,その犯人は尖閣諸島をダシに日本だと思わされているのだ。

 このままでは,日本が先に沈没するか,中国が先に沈没するかのchicken raceを行っているようなものである。中国に差をつけるには,国民全員がいまの既得権者の政治から抜け出そうという意思を持たなければ無理である。
 でも自分の小さな既得権を守るために悪徳既得権者に投票するジジババが居るかぎり,それを基盤とした右翼気どりの政治家と若者は跳梁跋扈するだろう。

注1
 中国ではこのように通常のマスゴミでは報じられない人物を特定することを「人肉検索」と呼び,net上で特権階級の犯罪者の情報を暴くことが行われている。これは一種のガス抜きであるが,日本の大津の自殺事件でもこれが行われ,加害者は特定されて顔もnetに上がっている。

注2
 武装警察は事実上の軍隊で,山のようにいた人民解放軍から1982年にかなりの人員を国境・国内警備専門として分離した。主に国内のデモや陳情・騒動および独立運動の鎮圧に陸軍並みの装備で立ち向かう。出入国管理なども行っている。普段は各地の権力者の事実上の私兵である。
 「城管」は「城市管理行政執法局」という意味不明な各都市の自前の部署で,一種の街の顔役(公設ヤクザ)である。いわば江戸時代の同心や目明かしの類いに相当する。もちろん警察並みか武装警察に近い装備を持ち,一般大衆に君臨していて忌み嫌われている。
 なお,中国では警察は日本の公安に相当する事柄だけでなく,住民や外国人登録まですべて行っている行政機関でもある。


2013年2月15日 ガラパゴス国家

 “ガラ携”という言葉がある。多分数年後には死語になるかもしれない。すなわち日本において,太平洋の孤島Galápagos島の生物のように特異的に進化した携帯電話のことであり,米Apple社が世界中に広めたスマホことsmart phoneの前では,生きている化石の意味で使われている。
 日本の携帯各社のみならず,世界最強と言われたFinland(Suomen tasavalta)の通信機器会社Nokiaもこの波に飲み込まれてしまい,携帯の世界市場はAppleのiPhoneと韓国Samsongが出すOSにGoogleのAndroid(NTT docomoが採用)を使ったスマホに乗っ取られた感がある。ただし,このITの世界は今日の勝者は明日の敗者であるので,かれら二強とて数年後の情況は雲の中であろう。

 自分たちのことなのでマスゴミはあまり詳しいnewsにしていないが,じつは日本のIT産業の将来を左右するような判決が今月13日に最高裁で出た。最高裁の見解というのは,特定個人ごとが買い整えた“TV放送を受信して記録し,それをinternetからの操作で自動的に自分に送るsystem”をその各個人と契約して日本国内で預かる業務は,著作権法に違反するという,というものである。
 実際にTV局はこの業務に対して,本来訴えの利益がないはずの嫌がらせの訴訟を起し,それに乗っかった最高裁が,日本のガラパゴス化を強力に支持したと結論づけられる。
 この訴訟は,東京地裁でTV局側が勝訴した後,東京高裁の知的財産裁判で敗訴した。しかし2011年1月に最高裁は知的所有権の専門家が出した高裁の判決を,日本の既得権者達の利権を害するものとして破棄した。

 すなわち最高裁事務局が牛耳っている検察審査会が,検察が作成した偽調書以外には何等明確な証拠もないにもかかわらず,小澤一郎を強引に起訴に持ち込むように工作した,と思われる事態とまったく同一の思考法からなされたのである。
 最高裁の論理によれば,今までの既得権に守られたガラパゴス日本の構造を危うくする試みはすべて否定すべきなのである。

 警察・検察およびマスゴミだけではなく,最高裁まで巻き込んだ日本の官僚と大企業からなる既得権層は,TVや大新聞・通信社から自分たちに都合がよい情報のみをたれ流すという操作で,これも老人既得権者たちを騙して,選挙を通じて日本の(橋下や石原ではない真の維新)改革を脚の下に踏みにじってしまった。
 このような考えや行動が,日本という国のガラパゴス化だけでなく,その先に見える国家滅亡を早めているのである。 これが現在,多くの日本人が抱く,どこにも出口がないように思う逼塞感や焦燥感の原因である。
 小澤一郎は『サンデー毎日』の90分独占会見記事の最後で,以下のように語っている。恐らくかれは,江戸幕府末期然とした情況にある日本人をもう諦めたのだと思う。かれ自身は政界を引退し,鳩山由紀夫元総理と同じようにのんびりとお手並み拝見したい気持ちに溢れていることだろう。誰だって石原慎太郎みたいに無責任でないかぎり,老骨に鞭を打ちたくはない

総選挙後、週刊誌に初登場アベノミクス、TPP、野党再編、憲法改正
--惨敗した「剛腕」次はどう動くのか談合ニッポンをもう一回うちこわす!【2013年2月24日号 サンデー毎日】
 まずは“幕藩体制”を倒さないと“文明開化”の世は来ない。頭領は坂本龍馬でも西郷隆盛でもいいが、「オレがオレが」と主張する人たちでは大事は成就しません。みんな自分を殺し、捨てることです。それで、国民に一番受け入れられる人、みんなの意見をまとめられる人がトップになればいい。僕は次の衆院選まで全力でやります。ただ、その間に政権を奪還するという志を持った人物が現れなかったら日本の未来はないと思います。

 養豚家は2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の3ヶ月ほど前に,わざわざ震源地に近い茨城の片田舎に終の住処を定めた。寓居自体は1984年の秋に建てたものなので,26年も風雪に耐えて大分弱ってしまっているとは思ったが,地盤と基礎がしっかりと造成されていたので,震度6弱の揺れにもかかわらず建物の被害は軽妙であった。
 ただ,二階の屋根に載せておいた4半世紀前のTV antennaは,錆びていたstay(支え)の線が切れてひっくり返ってしまった。新たに立て直すにも,地上波digital化が2011年7月には実施され,VHFのantennaを付けてもすぐにゴミになるので,UHFが写るTVに買い換えねばならない。そこで一層のことTVなしの生活をすることにした。

 このとき思い浮かんだのが,今回の判決で著作権法違反とされた“ロクラクII”および“まねきTV”による視聴方法である。すなわち,東京のわが家にinternetを介してon/offやchannel変更操作が出来るTV tunerを置き,簡単なパソコンserverを介して茨城の家のパソコンで視聴するという方法である。
 かつてはSonyなどからこれらの機能がsetになった製品が出されていて,海外へ赴任した日本人に重宝されていたが,撮影機材を納めている放送業界から圧力がかかったのであろうか,いずれの商品も販売終了してしまった。

 TVなしの生活をしてからは,養豚家はinternetから情報を得ている。解ったことは,日本のマスゴミは如何に恣意的な報道を繰り返しているか,ということである。もちろん本文は紙屑でしかない新聞は,亡妻が病に倒れて以来,チラシに用が無くなったので取っていない。
 天から降る雨のように情報をただ待ち受けていたのでは,自国政府が仕掛た反日で騒いでいる韓国人や大陸中国人と同じ水準の烏合の衆でしかない。
 かれら中国人や韓国人は,政権を有する既得権者が,戦前の日本のように“お国のため”と言えば,喜んで対日戦争の前線に飛びこんで死ぬのだろう。

 ところで,何でもありの中国だけではなく米国でも,TVをinternet経由で視聴するのは当たり前のことである。養豚家も大好きな武侠物(中国のチャンバラ時代劇)のTV dramaは,CCTV(中国中央電視台)のinternet番組で見ている。もちろんinternetの状態が悪いと見難くなるが,どうしても見たいものは中国に行った際にDVDなどを買ってくる。共産党の宣伝ばかりのTVのnews番組を見ることもできるが,それは遠慮してnewsは台湾のnet TVで視聴している。大陸の情報は台湾で取捨選択したもののほうが,整理されていて便利である。

 日本ではなぜかTV局は著作権に執着していてinternetには番組を流していないガラパゴス化状態である。
 情報のガラパゴス島に生息する日本人は,世界の広さや価値観の違いを実感していないし,たとえ海外を旅行しても,どこかのtourに参加して景色や街を見るだけで,現地の人の考え方や行動様式を学んではいない。
 このように自分で情報を取りに行く姿勢がないから,海外にいても国内の田舎町にいるのと同じように安全が確保されていると勘違いし,異国の繁華街を夜22時過ぎにのんびりと歩いている。その結果,この2月12日に米Guam島で21歳の米国人の男性による無差別殺戮の犠牲になってしまったのだ。

 TVのinternet経由での視聴は,既得権層のガラパゴス化の努力にもかかわらず,日本でもいろいろな手段が次々と現れている。
 究極のものとしてはB-CAS card(注1)などのhardwareなしで視聴できるというsoftwareである(注2)。技術的にはどこかで受信したTV画像をP2Pで送っているらしく,Skypeなどと同じ原理である。そのため画像や音声の質は,携帯電話で視聴するワンセグTVと同程度である。
 結局,養豚家はUHFのantennaを立てることもしないし,digital TVを買うこともしないで一生を終えるかもしれない。

注1
 B-CAS cardは地上波・衛星波を問わず,TVや録画機のtunerに付いているdigital信号を受付ける暗号が書かれたcardである。このcardに書かれている内容により有料放送などの視聴制限がなされている。

注2
 たとえば総務省の“次世代P2P型コンテンツ流通高度化技術に関する研究開発”によって開発されたP2P TVを受信するためのsoftwareがあり,KeyHoleTV(キーホールテレビ)と呼ばれている。
 なお,このsoftware自体は無料であるが,実際に視聴するには米国のOISEYER Inc.からPremium Module Keyを購入する必要があり,それによって一定時間の視聴ができる。Keyがなくても5分程度のお試し視聴はできる。病院などにある有料cardで視聴するTVよりは割安である。
 さらに2012年9月に発表された“NIJI”というTV視聴softwareがあるが,そのdownload siteをaguse.jpでsite調査をかけても詳しい情報が出て来ないので,養豚家は視聴実験をしていない。無闇に自分のパソコン環境に危険をもたらす愚はしたくないからである。 


2013年6月7日 サンマ技術者

 中国のある大学で日本文化と日本語を教えている知人がいる。知人は大学の無償の宿舎(100㎡ほどの3・L・D・Kに一人住い)で基本的に自炊している。日本からの直行便が飛んでいる中国大都市の空港から,1日3便50人乗りの飛行機に乗るか,高速busで400km余の道のりを5時間かけないと着かないという,日本で言えば山間僻地である。
 しかし,中国である,人間が多い。この省立大学にも2万人の学生がいるし,大学がある市の中心の市街地には30万人ほどが集まっている。ちなみに,この市の面積は岩手県ほどで人口は500万ほどである。

 ところで知人は,先月末ごろ地元スーパーで冷凍サンマを1尾当り1.2元(注1)で買ったそうである。日本だとスーパーの安売りでもなかなか50円にはならない
 実際にこの市に住んでいる日本人は,地元sport clubのコーチおよび工業団地に派遣されている日本人数人と大学の日本人教師数人だけである。ほとんどは自炊してないので,日本人による需要はほとんどなく,2,3軒ある日本食restaurantで出されるサンマの塩焼きや,日本から帰国した中国人が懐かしさに買うくらいであろう。

 でも,何だか変である。中国沿岸ではサンマは取れないし,日本ほど消費しないので,中国の漁民が燃料費をかけて,はるばる北海道沖まで専用のサンマ漁船を繰り出してお得意の乱獲をしても商売にならない。とすると,中国の山奥のスーパーに並んでいる冷凍サンマは日本の漁船が獲って産地の冷凍倉庫に入れておいたものの可能性が高い。しかし,小売りするためにだけ中国に輸入していたのでは,量が少なく間尺に合わない。
 船載用の大型冷凍container丸々一つ分のサンマを運び込むことができるのはサンマの加工工場くらいである。この大学がある地方のスーパーに出回っている冷凍サンマは,多分同省内の工業団地で加工食品となる際,市場に流したものであろう。もちろん,加工するよりも未加工品を横流す方が儲かるので,差額は合弁相手の工場幹部や党書記のお小遣いになる。
 ということは,日本のサンマの冷凍倉庫のFOB価格(注2)は当然ながら中国の小売り価格の1尾20円にくらべてかなり安い,ということである。(注3)
 ちなみに2007年の統計では,冷凍サンマは毎年韓国,中国,Tailandなどに約3万t輸出されていて,乾物や缶詰などに加工され,日本に再輸入されたり第三国へ直接輸出されている。もちろん現地での日本食以外にも使われるとは思うが,中国国内での生食消費量は知れている。
 余談であるが,これが最近数年でVietnumでの加工に移行しつつあることは,気分が悪い韓国や中国の反日政策からみても当然である。

 ここで,“安倍のmix”の登場となる。国外の安い人件費に職場を奪われた日本国内の食品加工工場はどうやれば“アベノミクス”で浮上できるのだろうか。安倍のお膝元の農林水産省は,加工された日本産食品ではなく,原材料としての日本産食品を輸出して国外で加工させて再輸入して,輸出実績を上げたと自己賞賛している始末である。安価な海外の労働力に日本人の職場を奪われている。
 では,なぜ月給20万円にもならない日本人が,どんどんと給料が上がってきている中国人(注4)に職場を奪われているのだろうか。それは日本では人件費以外のcostがばか高いという既得権構造に根ざした無駄が蔓延っているからである。電力・運送費など直接原価に反映されるものだけでなく,利益に課税される税金以外の各種の税金・社会保険を初めとする目に見えないあるいは別の名目の上納金が以上の多い。
 古稀を越えて僅かな年金で暮らしている養豚家は,所得税はもちろん地方税も均等割り以外は払っていない。しかし,年金から国民・介護の両保険料はばっちり引かれているし,そのほか物を買えば種々の税金や茗荷金が価格に上乗せされている。

 日本の最大の問題は,既得権者が多過ぎることである。既得権者の数と既得権の額は,もちろん中国には及ばないが,かれら日本国内の既得権者が消極的に反対するため,経済構造の改革はまったく進まない。小澤一郎を積極的に抹殺した勢力はこの既得権者であるし,それに唯々諾々と従っているのは,年金生活のジジババなどの消極的既得権者である。

 それにもかかわらず,安倍政権はさらに上層部の既得権者を助けるために,技術者を殺す新しい武器を大企業に与えようとしている。

社員の発明、会社に特許権 知財戦略案に帰属先変更方針【朝日新聞デジタル 2013年6月7日】
 安倍内閣が7日に閣議決定する「知的財産政策に関する基本方針」が明らかになった。企業の研究者ら従業員が仕事で発明した「職務発明」について、現在は 従業員側にある特許権の帰属を見直し、企業への移行を検討する方針を盛り込んだ。来年度中の特許法改正も視野に入れ、検討を進める。

 基本方針は、今後10年間の知財戦略の方向性を定めたもので、安倍政権の知的財産戦略本部(本部長=安倍晋三首相)がまとめた。7日の閣議決定を経て、14日にまとめる成長戦略にも反映させる方針だ。

 現行の特許法では、特許権は発明した従業員に帰属し、企業側に譲り渡せば、「相当の対価」を受け取ると規定している。基本方針では、従来の仕組みを抜本 的に見直し、特許権を(1)企業に帰属(2)企業か従業員のどちらに帰属させるか契約で決めるとの2案を明記。後者の場合も、従業員の立場は弱く、特許権 の企業保有に拍車がかかりそうだ。

 このようなことをしても,日本人技術者は大人しく日本の企業で発明に精を出すとでも,安倍は考えているのであろうか。世界に通じる発明ができるような技術者はそんなバカな制度がない国に逃げ出すであろう。あるいは,逃げ出すだけの能力がない技術者は,企業内の既得権者を肥え太らせる気が起きないので,江戸時代の下位の武士階級よろしく,ちんたらとしか仕事をしないであろう。まさに,クロマグロへの道は閉ざされ,中国に安く叩き売られるサンマ技術者になるしかないのであろう。

 税金だけでなく頭の中身もすべて既得権者に差し上げるべき,というような政治が行われる国は,半島の北側にある国とまったく同じ発想である。まだ,若い技術者は日本から逃げ出すことを真剣に考えるべきであろう。

注1
 中国では何でも重さで売る,何本か買った平均値を示す。なお1.2元は本日のTTM(Telegraphic Transfer Middle Rate:為替交換の仲値)換算で20円。

注2
 FOB価格とは,輸出国の積み出し港での価格,輸入国ではこれに輸送料,保険,関税が課される。工場FOB,倉庫FOBもこれに準じた名前で,それぞれ工場や倉庫から出すときの価格。

注3
 例外もある。じつは,例年の水揚げ量の1/100が続いた2012年7月の札幌中央卸売市場での初セリでは,サンマ1kg当り23,300円の最高値を付けた。平均重量120gの1尾の価格が3,000円もする高価格は,ご祝儀以外の何ものでもない。通常年の2009年の釧路漁港での初セリ価格は,1kg当り平均700円である。これでも1尾84円となるから,漁民としては初セリ様さまだったであろう。

注4
 中国では大都市の工場労働者の給料は年々跳ね上がって,2012年1月のJETRO発表(2011年の値)では月400USD(当時1USDは81.78円)にもなった。この統計から2年後の今は,さらに10%以上のupとなっているであろう。
 しかも中国の工場には日本とは別の種類の既得権層がいて,直接生産に従事しない管理部門や党関係などの人々がやたらと多い。しかも彼らの給料は10,000元以上と格段に高く,USD換算では日本の同水準の従業員の1/3から半分くらいにももらっている。 (2012/1/4人民元のTTM相場は12.17円)
 余談であるが,安いといわれている中国のお米の内,日本人が満蒙開拓団として旧満州に入植した際に持ち込んだ日本種の耐寒種がさらに改良されて中国の東北三省で栽培されている。この「東北大米」(大米はお米のこと)は味がよいので,中国のあちこちで売られているが,だいたい10kgで80~100元(1,280~1,600円)する。日本国内米はすでに10kgで3,000円台の安価なものが出回っているから,中国でまともに暮した際の生活費が日本に並ぶのは時間の問題であろう。


2013年9月5日 旧民法の亡霊追加あり

 昨日,最高裁大法廷(竹崎博允長官)は裁判官14名の全員一致で“家族形態の多様化や国民意識の変化などを考慮すると,親が結婚していないという選択の余地がない理由で子に不利益を及ぼすことは許されない。”という判決理由を示し,現行民法第900条四号のただし書きの規定は憲法違反との初判断を下した。

民法第900条(法定相続分)
 同順位の相続人が数人あるときは,その相続分は,次の各号の定めるところによる。
 一~三 略
 四  子,直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは,各自の相続分は,相等しいものとする。ただし,嫡出でない子の相続分は,嫡出である子の相続分の二分の一とし,父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする

 最高裁からようやく正しい判決が出,後ればせながら時代の歯車がちょっとだけ回った。それは,明治というか江戸時代の武家諸法度の伝統を受け継ぐ,旧民法の考え方を否定したものである。この件は,すでに国連の人権理事会からも改訂をするように計10回勧告を受けており,先進国家でこのような規定があるのは,日本のみであった。
 もちろん既得権者であるこの案件の嫡出子側は,時代の歯車を押し戻して,日本を救いようがない状態に止めて置きたいと考えていて,“日本の家族形態や社会状況を理解せず,国民の意識とかけ離れたもので,違憲判断には絶望した”と批判するアホ極まるcommentを出した。

 では,なぜこの江戸時代の家督相続以来の規定が削除されずに残されて来たかというと,“婚姻せずに子供を作るのは不届き至極である。”という江戸時代の武士階級の家格の釣り合いを重視した婚姻制度をそのまま後生大事に守ってきたからである。
 武士階級の婚姻とはすなわち家督を継ぐ男子を産むことであり,家督を継げなければ,寝ていても給料(家禄)を貰えるという,今の年金制度よりもはるかに優遇されてきた既得権を放棄しなくてはならなかったからである。
 男子が産れなければ,もちろん婿養子を娶ることも出来たが,その場合家禄を減らされることも多かった。もちろん農家では男子は稲作労働の主力として重要視されたので,小作農でないかぎり武士階級と同じような意識を持っていた。

 一方庶民の世界では,男子であることについては,体力と対外的な意味以外にはあまり重要なことではなかった。むしろ江戸のような男性過多の都市では,ちょうど適齢期の男性が過多の今の中国大陸のように,女性は大事なものであった。商人の街である大坂(“阪”は明治以後の名称)の船場では,“いとはん”や“こいさん”などと呼ばれた娘に優秀な婿を選んで後を継がせ,商売の継続と繁栄を期待した。すなわち,数人の倅の中から優秀な跡継ぎを選ぶのではなく,奉公人や他の商人の倅の中から選んだ方が失敗が少ない,という訳である。
 庶民の離婚率も約1/2と非常に高く,伝えられているような“三行半(注1)一つで男はいつでも女房を取り替えられる。”などという勝手気儘なことではなく,逆に男の行状が悪くて離縁状を書かされる例も少なくなかった。また,持参金や嫁入り道具を元のまま返却しないと,去り状に対する“返り一札”という去り状の受取りが貰えず,男の側も再婚できなかった。

 さらに蓄妾が公認されていた江戸時代は,武家でも嫡出児(正室の子)を重んじるよりは,資質を大切にした。水戸光圀や徳川吉宗のように側室未満の母親から産まれた三男や四男(吉宗は三男と数える人もいる)でも,優秀なら水戸家や将軍家を継ぐことができた。
 むしろ,富国強兵のために作られた旧民法の方が,江戸時代よりも柔軟性が乏しく,庶民に至るまで家督相続を基本とする長男優位の家族制度を強制したものと言えよう。

 旧民法の亡霊はまだある。それは婚姻後の夫婦の姓である。すなわち,旧民法の家督の考えが色濃く残る現行民法では,婚姻後の姓は,夫か妻の姓(注2)のどちらかを選んで名乗ることを強制している。明治半ばに旧民法が施行されるまでは,日本は基本的に夫婦別姓であった。しかし富国強兵の政策の下,江戸時代のように簡単に離婚されたのでは,兵隊や労働力の補給に困るので,家族の枠組みを武家の世界並みに強化したものであろう。

民法第750条(夫婦の氏)
夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する。

 現行民法によれば,夫婦は妻の姓を名乗ることも出来るが,つい最近の調査でも,実際には結婚して新たに戸籍を作った夫婦の98%が夫の姓を名乗っている。このため,“入籍”や“籍を入れる”,“籍を抜く”とか,“嫁入りした”や“嫁に貰う”,“嫁に出す”などという,旧民法以来の言葉が現実に生きていて,妻と婚家の間の揉め事では,戦後産れのまだ還暦にもならない婚家の姑が,しばしばこれらの言葉を口にするようである。

 夫婦別姓については,中国・台湾や韓国・北朝鮮など儒教の伝統が強い国では基本的に夫婦別姓である。また,欧米の米・英・仏・独・伊・西・露などの主要国では別姓の選択が可能で,姓に関する規定がなかったり,同姓を選択しないと自動的に別姓なるとかいろいろである。
 国民の意識としては,2012年12月に内閣府が実施した世論調査では,別姓賛成が35.5%,旧姓を通称として法律的に認めるに賛成が24.0%であった。60代以上の男性と70代以上の女性を中心に反対が多い。
 なお,2013年9月にNiftyがやったnet投票では,62%の人が選択制夫婦別姓に賛成で,5%の人が通称賛成である。こちらはもちろん若い世代の考えを代表している。
 これから見ても,日本の現状の停滞現象は,ジジババの既得権層が,現状維持に固執してあらゆる改革に反対していることも大きな原因であろう。

 世界的に見ても日本の女性の就業率は低く,“結婚して家庭に入り,良妻賢母となる”という既得権層の思想が背景にあって,姓が変ることを機に女性は生産人口から子供やジジババのような非生産人口に転化している。10年程度の子育ての時期を家庭で過してしまうと,neetと同じく社会では再起不能になってしまうのである。仕事に意義を見いだしている女性達は,“それなら結婚しないという選択もありうる”と考えるのは当然であろう。
 日本の経済の停滞は,子供が少なくなったことも大きな原因である。それは経済の国際化によって子供を育てるには夫一人の稼ぎでは不可能になったからである。夫婦で働くには,結婚して姓が変ることで仕事上の付合いを継続するのが複雑になるということも障碍の一つになっている。
 日本経済の再生の一環として,子供世代の増加(すなわち婚姻数の増加)を図るには,旧民法の亡霊であるような規定を民法から取り払うべきであろう。
 事実仏やSverige(スウェーデン)では婚外児や女性を圧迫する法律および手続きの規定を見直すことで,出生率を回復させている(注3)。

 養豚家は,すでに齢は古稀を越え,生産活動に参加したくてもどこからも門戸を閉ざれてしまっている。これでは,若年人口が減少しているのであるから,女性を家に縛りつける旧民法の亡霊も原因となり,日本の将来に使える人材はどんどんと枯渇するのは明らかであろう。老人と女性の活用および子供の増加なくしては,斜陽の国日本は“日出る国”ではなくなるのは明らかである。
 自民党・維新の会や公明党などのジジババの既得権に依存した政権は潰し,旧民法の亡霊のような考えを捨てて,改革を実行しないと,日本はあと10年と保たない。養豚家はそのころにはあの世に居る可能性が大であるから,もう知らない。

注1
 “みくだりはん”と読む。普通は去り状といい,“一其許義,此度手前存寄有之候て離縁致遣候間,向後再縁は勿論如何様之儀有之候共,此方差構無之候,為後日離別状仍て件如。(自分から離縁するので,再婚はもちろんどうなっても構わない。)”などという内容を3行半に書いたから,この名が付いた。

注2
 現行民法では旧民法以来の発想で,“姓(かばね)”ではなく“氏(うじ)”を法律用語に使っている。これは,家族を表す“姓”よりも同一血統集団を示す氏が重要であるという概念であろう。
 その割には中国人のように「同姓不婚」という概念もないのだから,矛盾といえる。

注3
 少子化がもたらす結果については,いろいろな意見があるが,どれも緊急を要する課題と捉えている。


2013年9月13日 追加

 案の定,ネトウヨ(Netの上や社会的発言で無意味な右翼的言動を吐く層)や自民党・維新の会の時代錯誤な連中は,“日本の良き秩序が崩れる”と称して,女性を家族制度の枠に閉じ込め,日本を世界最悪の少子高齢化社会に導いた愚策を世界の見本にしようとしている。明治中期に決まった嵩が100年程度の歴史しかない制度が日本の伝統だとのたまうなら,恐れ多くも天皇家はもっと伝統があり,平安期にはもっと自由に婚姻してきた。皇位を継ぐのも気儘に決められて来た。

 すなわち,最高裁の全員一致で憲法違反とされた民法の規定を削除しないで,なんらかの方法で婚外子差別を残そう(注4)というのである。もちろんかれらの企みが既得権ジジババやネトウヨの支持を得て,自民党がゾンビの如く浮上したのであるから,これが日本人の総意であると解釈することもできる。
 すると,残念ながら日本の将来はこのまま少子化が継続して進み人手が不足する。そこへ自由・民主がない大陸中国を嫌って続々と現代の渡来人(中国人)が日本に侵入してくる可能性が大きい。日本でも2050年には華人(帰化した中国系の人とその子孫を指す)による政党が, PhilippinesやThailandのように政治を牛耳り,さらに現在の国民党政権の台湾のように,大陸の共産党政権へ阿るようになるかもしれない。

注4
 実際に民法のこの規定以外に,行政・教育や企業など多くの実務分野で,嫡出子との差別規定がある。たとえば,未婚の母は離婚・死別者に支給される母子手当ての対象外である。
 子供に罪は無いのにもかかわらず,私生児は実務上では徹底的に差別されている。たとえば,婚約している出来婚予定の男性が結婚前に事故などで急死すると,産れてきた子供は認知されず,私生児として扱われる。


2013年9月23日 他人の褌追加あり

 貧乏な国民の懐に手を突っ込んで“年金制度を維持するために”という錦の御旗で毟り取った消費税を,安倍政権はお金持ちの大企業に配分しようとしている。
  以下の記事の指摘は正鵠を得ているので,あえて全文引用する。

消費税 来春8% かすむ社会保障目的【東京新聞 2013年9月13日】

 安倍晋三首相は十二日、二○一四年四月から予定通り消費税率を5%から8%に引き上げる方針を決めた。増税に伴う景気の落ち込みを避けるため、消費税2%分に相当する五兆円規模の経済対策を併せて実施する。増収分は社会保障費に充てるという増税の目的が事実上、変質する。経済対策も公共事業が中心になるとみられ、国民から幅広く集める消費税の還元先が特定業者に偏る「還元格差」が生じることも考えられる。
 消費税増税法は、少子高齢化に伴って予算額が膨張し続ける年金や医療、介護などの社会保障制度を維持・安定させる目的で制定された。成立当時の野田佳彦首相、現在の安倍晋三首相も「増収分は全額、社会保障費に充てる」と明言してきた。
 来年四月の消費税率の引き上げでも、政府は八兆円程度の税収増を全額、社会保障に充てると説明するが、経済対策が実施されれば、増税で生じた財源のゆとりで賄うことになる。
 本来なら、そのゆとりは財政赤字を減らしたり、社会保障に使うべきで、社会保障制度を維持・安定させるという増税の目的とは矛盾する。
  しかも、経済対策は四月の増税に伴う景気の落ち込みを避けるため「即効性が必要で、従来型の公共事業中心にならざるを得ない」(官邸筋)といわれる。消費税は国民が一律に負担するのに、それに伴う「痛み」を軽減する経済対策が公共事業中心になれば、建設業界ばかりが大きな恩恵を受ける。
 消費税増税法は増税分を全額、社会保障の財源にすると定めているのに、なぜ、こんなことができるのか。
 同じ増税法に抜け道が隠されている。
 付則に「成長戦略や防災および減災に資する分野に資金を配分する」と明記され、公共事業などへの「流用」の根拠となる。増税法が成立した際、自民、公明、民主三党以外の中小野党が「消費税増税は公共事業の打ち出の小づちになる」と批判したが、これが現実となりつつある。

 じつはここで論じているだけに留まらない。法人税の減税にも回そうというのである。日本の大多数を占める中小零細企業は,ここ20年余り,法人税を払える水準の所得が無い。したがって消費税の増加分で法人税を減税するということは,儲かっている企業へ儲かっていない企業から強制的にお金を移すということでしかない。まさに“他人の褌で相撲をとる”行為そのものである。

 さらに,円安で潤った自動車などの輸出産業は,現在12兆円の消費税の約3割を還付されている。トヨタ一社で昨年度は3千億円を越える消費税の還付を受けている。それは,消費税は国内税なので,仕入れにかかった消費税は輸出した分は戻されることになるからである。消費税は輸出先の国で支払われる仕組みである。
 すなわち,所得税を減税しなくても,輸出大企業は消費税の税率が8%に上がるだけで,トヨタクラスでは年間2千億円の還付金が増える。もちろん下請けや納入業者が消費税が増えた分を全額納入価格に転化できていれば,問題ないが,実情は消費税増額分の値引きを求められるのが,日本の下請け構造である。
 この上に,法人税減税と土木工事への大規模公共投資など,民から搾り取った消費税で既得権を守ろうとする自民党や維新の会に投票したのは日本国民である。いくらセクハラ芸人のみのもんたや無謀ヨット航海の非自己責任野郎の辛坊治郎の口車に乗せられたと言い訳しても,多くの国民が財布のお金が自動的に既得権者に渡るようになる政権を選択したのである。
 
 養豚家?年金用の増税をすべて横取りされ,どんどんと減る年金と消費税で上がる物価で,餓死するまでつつましく生きるしかない。


2013年9月27日 追加

 安倍総理は昨日の国連総会の演説で,演説時間の半分を割いて女性支援を訴えた。そのために3千億円をODAで支出すると言う。この大盤振る舞いも消費税の増税分から出されるようだ。すでに,消費税の増税分の8兆円から,税金が払える大企業向けに,“1兆2千億円の減税をする”と公表している。この減税分の内訳は,震災復興特別法人税の免除や投資減税である。
 すでに消費税上げ対策として,別途5兆円に近い規模の公共事業も目論まれている。その上に,国外の女性対策だそうだ。確かに印度の例に見るまでもなく,多くの国で女性は迫害されている。Isram教国ではさらに酷く,女性の地位は家畜並みである。では,日本では女性の地位は高いのかというと,共産党が独裁支配する大陸中国と比べても,かなり低いと言わざるを得ない。

 男女同姓を強制している日本では,結婚後の姓は98%が男性側の姓を名乗らざるを得ない状態だし,“嫁入り,嫁に貰う,入籍,籍を抜く”などという女性を品物のように扱う言葉は,まだ普通に使われている。結婚した女性を夫の実家の家政婦と見る風潮によって,育児負担や夫の親の介護負担がすべて女性にのしかかっている。さらに,役所の窓口の扱いで世帯主(実質的に男性)を基準とする事務処理規定など,結婚することによる不利益は,印度やIsram国並である。
 これでは結婚して子供を作ろうとする女性が減るのは当たり前で,人口減となるのは当然である。これらの対策は,ODAのような単なる予算措置で解決するわけではなく,日本の法制度を変えなくては,未来は現状のままの暗い状況が続くのではなかろうか。


2013年11月17日 ネトウヨ市議 追記あり

 先月31日中国広州の新白雲飛行場で,愛知県稲沢市の桜木琢磨市議が手荷物に潜ませていた覚せい剤の所持容疑で中国で身柄拘束された。報道によると覚醒剤約3kgを隠し持っていたそうだ。
 本人の主張によると,取引相手のナイジェリア人から預かった荷物に入っていたそうだ。報道によれば,中国への渡航費用をこの人物が負担したという。
 なお,中部空港からの広州便は中国南方航空が一日1便を上海経由で飛ばしている。

 市議の会社名は“スカイウェイ産業インターナショナル”という名前であり,電話帳情報によると貿易や翻訳などが主な業務である。しかも,市議会や多くの会合で意味不明な反中国発言をする傍ら,主に中国と取引している会社のようである。どちらかが隠れ蓑であると想像できる。ちなみにnet情報によるとこの会社の2012年2月決算の年間売上は200万円だったそうである。市議会議員の報酬程度は月額483,000円で,社長というよりは単なる右翼政治ゴロと考える人もいるだろう。

 しかもこの市議は,“世界平和連合(FWP)愛知県連合会三河総支部”という,去年の9月に死んだ韓国人の文鮮明をtopとする“世界基督教統一神霊協会(通称:統一教会)”(注1)に関連がある“国際勝共連合”や“世界平和超宗教超国家連合”が事実上の母体となっている組織に属している。
 この右翼ゴロのような人物に対し,下記のように擁護する人物もいるが,国際結婚と言っても桜木市議の奥さんは在日韓国人ではなかろうか。実際,“のんき父”と自称するだけあって,まったく呑気なことを言っている。桜木市議は覚醒剤に関ったから警察に拘束されたのである。

桜木琢磨市議拘束される【のんき父のブログ 2013年11月17日】
 桜木氏は奥様と国際結婚されているくらいの国際感覚の持ち主であり、語学が堪能です。
 父子相伝が口癖の人でもありました。・・・ブッシュ大統領と近い政治的スタンスでした。
 桜木氏とは氏の信ずる宗教が、のんきとは相容れないところがありましたので、その後疎遠になっていましたが・・・宗教観はともかくとして、覚せい剤に関わるような人でないことは、のんきとしても、この場でハッキリ言っておきたいと思います。
 3日前に佐々木氏からTELが入り、桜木氏の救援体制を組みたいという趣旨でしたので・・・頑張ってくださいと声をかけておきました。
 中国と日本は現在、微妙な時期にあります・・・特に尖閣を初めとした海洋権益に対する中国の最近の態度は、危惧すべきものがあります。
 そんな時期に起きた今回の事案の経過を注視したいと思ってます。
 のんきの父・・・でした。

 阿片戦争を経験した中国では,たとえ国内で覚醒剤や麻薬がめちゃくちゃに横行して追加を参照いても,建前は如何なる理由でも所持していたことが発覚すると死刑を含む重罪である。とくに外国人に対しては容赦ない。すでに過去に日本人の暴力団関係者と思われる人物が何人も処刑されている。

 こんなことも理解していない,“国際感覚”というのはどんなことを指すのか,“のんき父”を小一時間問い詰めたいと思うのは,養豚家だけであろうか。桜木市議や“のんき父”のような日本の既得権老人層とネット右翼が,安倍総理のようなまったく国際感覚がない人間をleaderに選んだのだ。

 養豚家は余命僅かであるが,必ず来るであろう1930年代から15年続いた悪夢の日本の再現から逃げ出したい。僅かの預金と中国語以外の外国語ができない身としては,逃げるに逃げられず,みすみす滅び行く日本を国内にいて見続けるのに忍びない

注1
 この新興宗教は,過去日本の大学などで,韓国得意の整形手術でイケメンにした男性を使って日本人女子学生騙して入信させ,毎年韓国で集団結婚式を開催し,嫁の来手がない韓国人ジジイと強制結婚させて大騒ぎになった。


2014年1月3日 追記 中国自体が覚醒剤の一大供給基地である

 本文中の養豚家の指摘を証明する下記のような記事が掲載された。

広東省警察、“ドラッグ製造の里”を摘発、覚せい剤3トン弱を押収 【Record China 2014年1月3日】
 2014年1月2日、新華網は記事「広東省警察、“ドラッグ製造の里”を摘発、覚せい剤3トン弱を押収」を掲載した。
 12月29日、広東省警察は武装警察と協力し、ドラッグ製造の一大拠点となっていた陸豊市博社村を急襲。18のドラッグ販売組織を摘発、容疑者182人を逮捕し、覚せい剤3トン弱、、原料23トンを押収した。
 陸豊市は“覚せい剤の里”として知られており、1999年、2011年と2回にわたり重点摘発地域に指定されている。過去3年、陸豊市産覚せい剤の中国市場シェアは3分の1を超えていた。

 陸豊市は広東省の東部の海寄りにある汕尾市の下の県級市で,人口約170万人で,一人あたりのGDPは1万元という貧乏市である。中国の過去の王朝と何ら変わりが無い共産党一党独裁を維持していると,このような矛盾は必ず発生する。


2013年版完