Dr. YIKAIの言いたい放題「日本の世相と中国関係および教育」

2020年版 Copy Right 2020 Dr.YIKAI Kunio

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2004年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」2005年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」
2006年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」2007年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」
2008年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」2009年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」
2010年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」2011年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」
2012年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」2013年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」
2014年版「日本の世相と中国関係」「技術教育」2015年版「日本の世相と中国関係および教育」

2016年版「日本の世相と中国関係および教育」2017年版「日本の世相と中国関係および教育」
2018年版「日本の世相と中国関係および教育」 2019年版「日本の世相と中国関係および教育」

2020年4月3日 武漢肺炎 追記あり

2020年4月3日 武漢肺炎 追記へのlink

 WHO(世界保健機関)は中国に忖度して,今回のcorona virusウイルス にCOVID-19などという訳がわからない名前を付けた。 2003年に中国から広がったSARSや2012年に中東から韓国に飛び火したMERSなど過去のcorona virusと比べて分かりにくい名称を付け,中国が世界で最初に発症した場所であることを隠そうとしていると, 世界中で言われている。 特に米国では,中国が意図的に疫病の発生を隠したとして,武漢肺炎とか中国virusなどという呼称を大統領自らが使っている。
 Virusが広がった実態は,本当のところはどうなのであろうか。 現時点では,中国政府は武漢市の海鮮食品市場にいた蝙蝠コウモリがこのcorona virusに感染していた,としている。 では,その蝙蝠は今までなかったcorona virusをなぜ持っていたのであろうか,中国は面子だけが異常にあるので,その解明は多分有耶無耶になるであろう。

 さて話は飛ぶが,大陸中国に「知乎[Zhīhū](知っている)」というsiteがある。 誰かが自分が知りたいことを投稿すると,知っている人が回答するという,日本のYahoo知恵袋のようなものである。 そこに興味深い質問と回答があったということで,ルポライター(和製語)の安田峰俊氏が丸2年ほど前の講談社のnet雑誌『現代ビジネス』にその内容を書いている。(Link切れのときはご容赦)

 知乎に上がっている原文の頭の部分
我日本出生(但我是彻头彻尾的中国人,父母是中国人。一家三口都是红色护照)2001年五岁拿着月影幼雅园结业证书归国,经历了一段不会说中文的日子,经历过一系列文化冲击,被“中国到底是怎么会事啊”这个问题搞得团团转之后,成功在初二的时候在wow吧剧成拉赞毕业(这都什么鬼!!!……而且梗也太老了吧!!)

AGC三修,看日剧,饭偶像,常年混迹于2ch,nico,日推,日油管,amaba。
所以总的来说,还是一个敢自称蛮了解日本人。

列出来的缺点可能描述,如果看不懂我再尝试着解释一下
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1.什么东西都要消化或者日本化以后,才敢挑战--过度胆小,甘愿做井底之蛙。

2.做着井底之蛙却又陶醉地以为自己是万年的一人之下万人之上。啃几十年前的老木,不愿做出真正的改革,还在奇快为何世界离自己而去。不像中国每一分每一秒都在寻求进步。
(以下略)
 以下,安田氏の記事から抜粋,句読点や誤字は原文のママ
この回答の投稿者は、本人の自己紹介によれば日本生まれの中国人で、5歳で両親に連れられて中国に帰国。 だが、その後も日本のアニメやドラマ、2ちゃんねるやニコニコ動画・amebaなど日本のネットコンテンツに深く触れてきたといい、中国人のなかでは相当な日本通のようだ。

1. どんなものでも「日本化」したあとは、器が小さくなり「井のなかの蛙」的な雰囲気をまとう。

2. 「井のなかの蛙」になるとは、自分たちが永遠に他よりも優れていると陶酔的に思い込むことだ。 日本は本当の改革をやりたがらないのに、世界が自分たちから遠ざかっていることを受け入れられない。 中国が刻一刻と進歩を模索しているのとは大違いだ。

中国人のなかには、中国がまだまだ非常に遅れているのに対して、日本は各方面で世界のトップクラスの水準にあって国民は幸福に暮らしているのだから、日本人が「井のなかの蛙」になるのも当然だろうと考える向きもある。 ただ、私はすべてがあながちそうとは言えないと思う。

日本人が「井のなかの蛙」に甘んじる理由は、安逸に流れている以上に深刻な怯懦があるゆえだ。 中国人は通常、「井戸の外」の景色を見ることを好み、外に出ていこうと考えて、世界に対して純粋な好奇心を持っているのだが、日本人はこうした純粋さや勇敢さや「ものごとをもっと知りたい」という冒険心をまったく失っていて、自分たちの世界の狭さを感じるときがあっても「まあ仕方ないや」と自分を慰めるだけで終わる。

3. (略)

4. なのに日本人は非常に他国からの目を気にする。「外国人が大好きな日本の○○」といった話が非常に流行っていて、取るに足らないくだらないものごとを見つけて「世界で日本が大人気」といった曲解をおこないたがる。 日本の庶民はこんにちになっても、自分たちの文化が十数年前の水準並みであると思い込んでいるが、この誤解には失笑を禁じ得ない。

5. 日本人は毎回、自分たちの誤りを総括する際にまずは言い訳を考え、改善する方法を考えることはほとんどない。

6. 日本人は(こうした言い訳の際に)自分を守る余地を残しておいて、いろいろと婉曲な表現をおこない、しかもそれこそが謙虚で大人らしい姿勢なのだと考えている。これがある種の責任回避に過ぎないことにまったく気付いていない。

7. 日本人はとにかく組織に架空の責任を負わせたがり、個人の責任を宙に浮かせたがる。 トラブルが起きたときはみんなで「どうしよう」と言い合うが、誰ひとりとして問題を解決しようと勇敢に立ち上がることも、みんなで団結して問題に蹴りをつけようとすることもない。

結局最後にどうしようもなくなれば、世論に頼って責任を追うべき人間を選び出す。 そうして選び出された人間がやるのは問題の解決では決してなく、謝罪して辞職して、あとは列車に飛び込むことだけだ。

8~17. (略)

私は日本人が悪であると言いたいわけではない。 彼らは極めて誠実で善良だ。 ただ、彼らの骨身になんら明確な正義の概念がないだけである。 彼らはなにが正しくてなにが間違っているといったことを明言することができないのだ(以下略)。

 安田氏の翻訳をあげつらう気は毛頭ないが,かれがウーンっと唸ったという回答の出だしの部分の原文を右に挙げておき,安田氏による紹介文を続きに転載する。
 この回答者は2001年に5歳で中国に戻ったと言っているから,今年2020年のどこかで24歳になる豎子じゅし(軽薄な若者)である。 かれの短くて浅くかつ狭い経験からここまで日本下げ(註1)ができるのは驚異である。 かれは日本の小学校には上がらないで,両親の仕事の都合あるいは祖父母や共産党からの指示で帰国したのかもしれないが,非常に残念なことである。
 残念なのは,かれは日本語はできても「自称蛮了解日本人」なんてのは真っ赤な嘘で,まったくの「井底之蛙」でしかなく,日本人のことは1mmも分かっていないからである。 なぜなら一般的に,人の思考方法がまとまるのは小学校の時期だからである。 だからかれは5歳で帰国した後は,どっぷりと中国的な雰囲気の中に浸かっていた以上,頭の芯まで中国人的な発想に固まっているのである。
 簡単な例で言うと,右の文で「一家三口都是紅色護照(一家三人みな赤いpassport)」と主張しているが,中国のpassportはくすんだ赤というか茶色に近い色である。 かれは本当に真紅なpassportは日本のであることすら知らないみたいで,赤いpassportは中国人の証拠であると思っているようだ。 「井底之蛙」はかれの無知に付けるべき称号であろう。

 このような極論は,結局叩き合いにしかならないので,この回答者の何処が残念で勿体ないのか,ということについて考えたい。
 日本は戦前,同文同種などという幻想を持って中国に対処し,大陸に大規模な軍隊を送り込んで,結局自滅したのである。 日本が勝手に滅び去るまで,共産党軍を率いた毛澤東は『持久戦論』などの論文を書いて,ただひたすら山の中に閉じこもることで,抗日戦争は国民党軍に任せて生き延びるという戦略を取った。
 歴史を紐解くと,白村江の戦いや蒙古襲来さらには秀吉の朝鮮出兵で,すでに日本国内の戦術は大陸では通用しないことは判っていたにも拘らず,敢えて四度目の愚を犯したのであるから,日本も人のことは言えない。
 これはアヘン戦争や日清戦争であまりにもあっけなく勝負が付いたことから,近代戦なら中国に勝てると思い込んだのであろう。 アヘン戦争などの戦は,清の国内が無責任状態でガタガタの時に戦ったことも相手側の勝因であった。
 戦は唯一の戦術しかないのではない。 相手の民情をよく知り味方の状況も知らなくてはならない。 このような単純なことは,戦国時代の兵法家孫武も「知彼知己者,百戰不殆」と述べている。 “大日本”と唱えた日本は,結局当時の“支那”に付いては,この「熱愛祖国」である回答者と同じく何も知らなかったし,知ろうともしなかった点で,「熱愛祖国」君と同じであった。

 この「熱愛祖国」君は,「過度胆小,井底之蛙」だと日本人を馬鹿にしたが,今回のcorona viursに対して,日本の富山大学名誉教授白木公康先生のgroupと富士フイルム富山化学が開発したアビガンという抗virus薬が有効であることが,中国の深圳と武漢での治験投与で明らかになった。
 その有効性の原理ついては,上述のlink先でアビガンを開発した白木先生が詳しく解説している。 3本の解説論文からなっていて,たいへん難しいが,このsiteの読者なら理解できると思う。
 もし,日本人が「過度胆小,井底之蛙」なら,どうしてアビガンのような抗virus剤を日本人が日本で開発できたのであろうか。 日本人には,固定概念に囚われない多様性もかなりあるのではなかろうか。 それは,「熱愛祖国」君が好む進取の気性で,何にでもすぐに飛びつく中国人とは違う性格だと思う。

 確かに中国は漢方薬(中国では,「国薬・中薬」と呼ぶ)では一千年以上の歴史があり,それなりに有効性を持っている。 これは過去,多くの医者が薬草などをいろいろと試して,山のような経験を積んだ(もちろん数多の人を見殺しにもした)上に成り立っている。 しかし,「熱愛祖国」君には悪いけど,漢方薬は急には結論が出ない方法なので,今回のように急に出現した新たなvirus疾患には対処不能であろう。
 「熱愛祖国」君は知らないとは思うが,富山は“越中富山の薬売り”として,300年の伝統がある漢方薬の供給地である。 そこでは,“井戸の中の蛙”ではなく置き薬という積極的に売る新手の販売方法を考案し,薬も中国にはなかった方面まで手を伸ばした。 その成果は,現在は和漢薬という形で保険調剤される処方薬になって,日本国内で利用されている。 富山大学医学部には早くから和漢薬研究所があるのも,それらの伝統がある故である。

 さてアビガンであるが,日本ではすでに抗influenzaインフルエンザ(伊語)薬の最後の砦として,約200万人分の備蓄を進めているそうである。 台湾でもすでに備蓄している。 中国では過去にインフルエンザに対応するために,富士フイルム富山化学の特許の実施権(惜しくも中国での物質特許は2019年に切れている)を持つ製薬会社があり,そこでは3月から量産に入ったみたいである。 いわゆる後発薬であるので,不純物の安全性試験は飛ばしたか,こっそりとやったかは分からない。
 通常新薬の治験には数年の時間がかかるが,アビガンはインフルエンザ薬としてすでに人に対する第一,二相の治験が済んでいるので,今回のcorona virusに対しての有効性を確かめる第三相治験だけを実施すればよい。 もちろんすでに分かっている副作用はあるが,胎児への影響などの副作用を避ける条件下での適用は可能である。
 治験ではないが国内の重症者に対しての試験投与でも,3月始めから重症であった山梨の患者は,25日には一般病棟に移ったそうである。 治験を経ての正規の承認を待たずに,どんどんと試験投与ということで治療を進めないと,日本でも感染爆発に間に合わない虞れがある。
 なお,治験だけならHIV(エイズのvirus)やエボラ出血熱に対してさえも行ってあり,絶大な効果が得られている。 中国では,今回のcorona virusに対する治験を冬の間に完了したということであろう。

 中国のこの積極姿勢は,「熱愛祖国」君の言を待たなくても,認めるべきだと養豚家は思う。 実際には,中国では2ヶ月に及ぶ「封城(City lock down)」が続いている状態であり,鼻糞のようなprideプライドのために日本が開発した薬などということで忌避することはできない段階に陥っている,と思われる。
 解熱鎮痛剤のAspirinアスピリンを産み出した世界的な製薬会社BAYERを有する独逸ですら,今回のcorona virusに対しては,日本からアビガンの供与を求めた。 世界一の売上げを争っているPfizerを有する米国は,自国の自信と威信にかけて,自国開発の抗virus薬やVakzinワクチン(独語)に掛けている模様で,現時点ではアビガンは治験段階に止めている。
 この記事を書いている時点で,さらに世界約30ヶ国から日本にアビガン供与の問い合わせが来ているという。 中国にももちろん供給要請があると思われるが,後発薬なので密かに輸出することになるであろう。

 一方,NO JAPAN運動を展開中の韓国では,3月下旬にアビガンの導入の意見が出た途端に,“論文などの報告を読む限り,新型corona virusの抑制に効果がなく,副作用も深刻である”との反論が出て,供与を言い出す必要はない,というのが正式見解になっている。
 日本が嫌いで粗探しするくらいなら,最初から議論しなければよいとは思うが,どうしても日本のものは“すっぱい葡萄”にしたいのであろう。 さらに,韓国系米国人が今回のcorona virusのワクチンを開発しており(註2),それが6月から臨床試験に入るので,成功すれば採用すればよいし,Novel賞ものだという声さえ飛び出しているという。 Nobel症に罹っている韓国人ならではの発言である。
 18世紀に初めて牛痘から種痘法を開発し,多くの子供を夭逝やあばたから救った英国の医師Jennerや,Jennerの考えを発展させワクチンという概念を打ち立て,狂犬病や炭疽病のワクチンを開発した仏国のPasteurならともかく,現在では毎年新しいワクチンが開発されるたびにNobel賞を授与していたら,他の医学生理学分野の貢献を拾い出す暇さえもなくなってしまう。
 これらの先達の時代には,まだNobel賞がなかったのも皮肉ではある。 アビガンを開発した白木先生だって,もし効果が大大的に示されても受賞できる可能性は低いと思う。

 副作用という点では,漢方薬に附子ぶしというのものがある。 鳥 兜トリカブトという藤のような紫色の小さな花が房になって咲く草の根塊で,猛毒である。 もちろん草全体にも毒がある。 漢方薬では,一番毒が集まっている附子をいろいろと加工して弱毒化したものが強心剤や鎮痛剤として利用されている。
 すなわち毒の弱いものが薬だと言っても差し支えない。 薬も一度に量を摂れば毒になるのである。 “百薬の長”と呼ばれているお酒も,飲み過ぎれば急性Alcohol中毒で死ぬ。 毎年春になると,新入生や新人歓迎会で死者やそれに近い人が出る。
 逆に“毒にも薬にもならない”と言うと,なんの役にも立たない人や物事を指す。 多分,韓国は“毒にも薬にもならない”どころか,いくら薄めて無毒化しても,日本にとっては毒にしかならない国であり,その政策を支持している多くの韓国人も同じく毒として扱うのが正解であろう。
 “毒を喰らわば皿まで”という言葉があるが,過去の日本の自民党の政治家は在日のパチンコ屋などを通じて韓国に女と金で操られて,日本人だけが一方的に悪者扱いされ,国民の血税をむしり取られてきた。 この際,完全に決別すべき相手だと思う。 最近の日本では左翼人士が,北朝鮮ではなく韓国支持に回っているというおかしな現象もあるが,かれらも目を覚ますべきである。

 養豚家?
 多分,東京の夜の街で不用心に遊んで来た連中が自宅に持ち帰ったcorona virusを家族や周囲にバラ撒き,それに罹患したど田舎の人々がだんだんと増えると思う。 増えた人々から,スーパーの店頭や他の買い物場所あるいは病院でcorona virusを移され,アビガンの認可を待たずして志村けんのように死んでしまう,というstoryが現実味を帯びてきた。


註1:
 “日本下げ”は通常「小日本」という侮蔑語で表されている。 自分たちは「大中国」というわけだ。 韓国も「大韓民国」と自称しているのだから,「大」と言っても知れたものであることは明らかである。 英国だと,United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandという正式国名から,Great→大英帝国という呼称が創作されたようだが,これはBritan島全体を意味しているだけである。 戦前“大日本帝国”と僭称した日本の成れの果てを見よ。

註2:
 韓国人が期待している韓国系米国人の会社


2020年4月8日 武漢肺炎の追記 本文に戻る

 アビガンの適用範囲を今回のcorona virusに拡大するという方針は,厚生労働省の消極的抵抗を押し切って,安倍総理の口から先月28日に出された。 通常このようなことは,厚生労働大臣から発表されるものであるにも拘らず,総理自ら発表したのは,安倍の政治的performanceであることも当然だが,異例であると言えよう。 これには,厚生労働大臣が発表することに,役人が異議を唱えた可能性があると思われる。 さらに4月7日の記者会見でアビガンについて,「観察研究の仕組みの下,希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大していく考えだ」と述べた。
 一方,厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会はこの薬に対し,2014年に製造販売承認したにも関わらず,数多の条件を付けてその製造すらも禁止してきた。 それは2017年3月まで続き,ようやく製造についてのみは,厚生労働大臣の要請がなくても製造できるようになった。
 アビガンを開発したのは富山大医学部(当時)の白木先生のgroupで,製造しているのは富山の薬売りの後裔とも言える富士フイルム富山化学であり,両者とも中央の医薬関係の官界や学会・業界とは関係が薄い存在である。 いわゆる田舎者でしかない。 ただ,フイルム業界で世界でただ一社業種転換に成功して生き残っている富士フイルムが背後に付いていたからこそ,薬として生き残り,もしかするとこの薬はpenicillinペニシリンのように人類の救世主になるのかもしれない。 富士フイルム本社と富士フイルム富山化学の過去・現在の経営陣に拍手を送りたい。

 アビガンが,従来のタミフルなどの抗virus薬では対処不能な,新型流感にのみ適用を限定されていたのは,養豚家が過去に医薬方面に関わってきた経験からは,医薬学界の重鎮や製薬大手を中心とした既成の権威と利権を犯すからだ,と思われる。(註1)
 適用を厳しく抑えた理由として,胎児などに対する催奇性が動物実験で分かったから,と厚生労働省では言っているが,ほとんどの薬が通常,受精・妊娠中や1歳未満の子供と授乳中の女性には,適用外なのは常識である。
 さらに,乱用すると耐性virusが発生するという理由で,厚生労働大臣の要請がなければ,販売・投与できないと言うのは,事実上アビガンの投与を禁止するに等しい。 ことさらに取り立てて,命に関わる病状にある患者や高齢者まで一律に,処方を大臣の許可制にする理由はない。

 これは,アビガンが既成のタミフルやリレンザなどのインフルエンザの治療薬やワクチン業界の利益を大きく侵害し,医薬学界の権威を犯すからだろう,と養豚家は邪推するが“当たらずと雖も遠からず”かもしれない。
 もし,RNA依存性RNA polymeraseポリメラーゼを騙してRNA virusの複製を阻害するアビガンが,多くのRNA virusに絶大な効果を発揮し,世界で最初に抗生物質のペニシリンを発見した英国のFlemingフレミング博士がNobel賞を受賞したように,将来白木先生がNobel賞候補にでもなったら,既成医薬学界の面目は丸潰れになるかもしれない。 そうさせないためには,使わせないのが一番よいというのが,医薬学界や大手製薬会社および厚生労働省の役人の一致した暗黙の了承事項のような気がする。
 しかしすでに国外での試験投与で,エボラ出血熱の治療には絶大な効果が出ているにも拘らず,日本の医薬学界や厚生労働省では“聞こえない,見えない,言わない”と消極的対応をしている,としか考えられない。 このまま規制していると,富士フィルム富山化学の不満を抑えられないので,200万人分の備蓄ということで国費を投入して,既存製薬大手の利益を守り,医薬学界の権威も維持した,と考えると辻褄がよく合う。 事実,富士フィルム富山化学は中国の製薬企業に特許の実施権を与え(2019年に中国での特許は切れている),中国では後発薬の量産を始めている。 利用しただけの中国が,世界戦略的には日本に勝つことになるかもしれない。
 日本人の行動などは,通常このように分析すれば簡単に読めてしまう。 タミフルやリレンザなど罹患細胞からのvirusの発芽を抑えるtypeの抗virus薬に対しては,すぐに耐性virusが出来てしまい,被害に遭うのは,運が悪いと治療が長期にわたる羽目になる国民である。

 話は飛んで養豚家の専門分野になるが,青色LEDで徳島大出身の中村修二博士がNobel賞を受賞したときも,伝統的な権威を侵された側の反応は大変であった。 本人から聴いたところでは,中村博士に対しては日本のどこの大学や研究所からもお声がかからず,かれは研究を続けるために渡米し,California大のSanta Barbara校で研究の場所を得た。 その後,かれは米国政府からの資金を潤沢に得るために,米国籍を取得した。 日本の学界や官界の閉鎖性の下での,典型的な人材流出である。
 それでも理工学の分野では医薬学の分野よりは,まだましかもしれない。 養豚家が博士を取得した自動車運転modelの研究でも,同分野で先行していた東大生産技術研究所(当時)の先生や院生から,学会でたいへんな反発を受けた。 しかし,現今発表されている論文を見る限り,かれらは結局養豚家が提唱したmodelを使って研究を続けているようである。

 独居老人の繰り言は,最近の情勢の変化について行けないので,ここまでで閑話休題としたい。 今回のcorona virusに罹らずに生きていれば,その結果も上げたいと思っている。 とりあえず,暫定的に2002年の暮から続けた言いたい放題に“おさらば”を言っておく。

   後會有期!(包拳)


註1
 開発当時の週間ダイアモンドの記事に,養豚家と同じ意見が書かれている。(Link切れの場合はごめん)


2020年版(暫時)完